論理設計自動化の研究と知的CADデータベースとの統合による超LSI設計への応用

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04044085
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 上林 彌彦 京都大学, 工学部, 教授 (00026311)
• 研究分担者: 澤田 直 九州大学, 工学部, 助手 (70235464) ; 岩間 一雄 九州大学, 工学部, 教授 (50131272) ; QIMING Chen カリフォルニア大学, 工学部, 客員教授 ; 室賀 三郎 イリノイ大学, 計算機科学科, 教授
• キーワード: 論理設計 / データベース / 協調処理 / 高速論理回路 / オブジェクト指向 / セキュリティ / マルチデータベース / 知識ベース

研究概要

本研究は、ハードウェアの論理設計法とソフトウェアのデータベースを統合して行う点に特色がある。論理設計法の1つであるトランスダクション法は研究代表者と分担者の室賀が20年前に開発したものであるが、米国のシノプシス、メンター、日本の富士通等で商用化されている。この方法の特色はすでに設計されている回路を最利用できる点にある。実用化されているのは基本的な方法であるため、より集積度の高い回路や新しい技術による回路素子への適用を図りつつある。具体的な成果は
1)素子の数の非常に多い回路に適用するために、適切な部分回路を抽出してその部分を改良する方法を開発した。
2)最利用に適した誤り訂正型のトランスダクション法について改良を行った。
3)冗長度付加により逆に冗長度が最終的に減少するような方式を開発した。
4)Wired-OR(素子なし論理)やFPGA(可変論理回路)といった回路技術に適用できる方式の研究を行った。
以上の成果により、種々の回路を再利用しながら大規模回路を設計するための基本方式を確立しつつある。実際には各設計者が部分的に合成した回路を組み合せたり、すでにある回路を再利用するためには、データベースを基礎とした協調作業環境が必要である。このため、
1)複数のデータベースよりなるマルチデータベースや、知識ベースとの混用の方式について研究した。
2)協調支援環境の基本部分を構築し、セキュリティ等で成果を得た。また、本研究に関連して、新しいハードウェア技術とデータベース技術の間の問題についての研究成果も公表している。

研究成果

• [文献書誌] H.Takakura,Y.Kambayashi: "A Design of a Transparent Backup System Using a Main Memory Database" Proceedings of the 3rd International Symposium on Database Systems for Advanced Applications. 178-185 (1993)
• [文献書誌] H.Takakura,Y.Kambayashi: "Continuously Backup Systems Utilizing Flash Memory" Proceedings of the IEEE 9th International Conference on Data Engineering. 439-446 (1993)
• [文献書誌] H.Linaae,I.W.Lovseth,Y.Kambayashi: "An Authorization Mechanism for Decentralized Dynamic Security Management" Proceedings of Third Euro-Japan Seminar on Information Modeling and Knowledge Base. (1993)
• [文献書誌] Y.Kambayashi,H.Takakura,S.Meki: "Data Organization for New Hardware Technology" Proceedings of 4th International Conference on Foundations of Data Organization and Algorithms,Springer-Verlag. 164-196 (1993)
• [文献書誌] H.Takada,Y.Kambayashi: "An Object-Oriented Office Space Description Model and an Office View Management Mechanism for Distributed Office Environment" Proceedings of 4th International Conference on Foundations of Data Organization and Algorithms,Springer-Verlag. 362-377 (1993)
• [文献書誌] 高倉弘喜,上林彌彦: "フラッシュメモリバックアップ方式の設計と性能評価" 電子情報通信学会論文誌,vol.J76-D-I,no.10. 514-521 (1993)
• [文献書誌] 上林彌彦: "マルチデータベースの研究開発動向" 情報処理学会誌. (1994)
• [文献書誌] K.Iwama,Y.Kambayashi: "A Simple Parallel Algorithm for Graph Connectivity" Journal of Algorithms,Vol.6,No.2. 190-217 (1994)