研究課題/領域番号 |
04044091
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
相原 茂夫 京都大学, 食糧科学研究所, 助教授 (20027197)
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研究分担者 |
LAWRENCE J D University of Alabama at Birmingham Cent, Professor
CHARLES E Bu University of Alabama at Birmingham Cent, Professor
中島 將光 京都大学, 工学部, 助教授 (60025939)
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キーワード | 微小重力 / タンパク質 / リゾチウム / 結晶成長 / X線結晶構造解析 / スペースシャトル / 蒸気拡散法 |
研究概要 |
本研究では宇宙の微小重力を利用してタンパク質の結晶化を実施した。研究代表者は本年1月と9月にスペースシャトルを利用した2度の宇宙実験に直接関与した。特に、6月に共同研究者のデルーカス教授は搭乗科学技術者として自身で宇宙実験を体験した。 まず、本年度は1月に行われた宇宙実験(ディスカバリー)の解析から始めた。タンパク質の結晶化は蒸気拡散法に基づくハンギングドロップ法で行った。8日間の飛行実験で、2条件の内、1条件(pH4.7)で単結晶を得た。微小重力下で晶出したリゾチウムの結晶は地上で晶出する結晶とは異なる薄い板状の結晶で、X線結晶学的に良質の結晶であった。次に、9月に行われた宇宙実験(エンデバー)は毛利博士が日本人搭乗科学技術者として参加した実験で、研究代表者らが設計、製作した静置バッチ法に基づく結晶化容器と前術のハンギングドロップ装置の2種類の結晶化装置を利用して7種類、9試料のタンパク質の結晶化実験を実施した。このうち4種のタンパク質について6種の結晶を得ることができた。 以上のタンパク質結晶化実験から、宇宙の微小重力下ではタンパク質の結晶化に関して、1:結晶成長速度が緩慢になること、2:同一条件でも地上と宇宙の微小重力下では結晶の形状が異なる場合があることなど、地上に比較して微小重力下ではタンパク質分子表面の物理的特性がタンパク質結晶核生成とより密接に関係していることが推察された。また、X線回折実験の結果、宇宙で晶出したタンパク質単結晶はX線結晶学的に良質であることが判明した。 一方、6月にデルーカス教授が自らスペースシャトル(コロンビア)に搭乗し、35種のタンパク質について結晶化実験を行った。 現在、宇宙で晶出したリゾチウムとω-アミノトランスフェラーゼの結晶について結晶構造解析を行っている。
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