研究課題/領域番号 |
04044094
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
仲野 徹 京都大学, 医学部, 講師 (00172370)
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研究分担者 |
清水 章 京都大学, 遺伝子実験施設, 教授 (00162694)
川市 正史 京都大学, 医学部, 助教授 (00195041)
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キーワード | 胚性幹細胞 / 発生 / ショウジョウバエ / 末梢神経 / 遺伝子組換え |
研究概要 |
本年度は、1.マク博士と共同でのRBP-Jk遺伝子の破壊された胚性幹細胞の作成と得られた胚性幹細胞を用いたキメラマウスの作成、および、2.アシュバーナー博士と共同でのショウジョウバエにおけるRBP-Jk遺伝子座の決定をおこなった。 RBP-Jk遺伝子座の破壊された胚性幹細胞の作成は、最初、Balb/cマウス由来の遺伝子破壊ベクターを用いて行なっていたが、遺伝子破壊の効率が極めて悪かった。そのために、胚性幹細胞と同一の系統である129/Svマウス由来の遺伝子破壊ベクターを作成し直し遺伝子破壊実験を繰り返した。新しい遺伝子破壊ベクターでは、効率が著しく向上し、一方のalleleのRBP-Jk遺伝子が破壊された胚性幹細胞株を数系統得ることができた。このうちの一株を胚盤胞に注入することにより得られたキメラマウスは、破壊されたRBP-Jk遺伝子座を子孫に伝達することができた。heterozygousにRBP-Jk遺伝子の破壊されたマウスを得ているが、表現形質の異常は認められていない。現在、homozygousに破壊されたマウスを作成中である。 ショウジョウバエにおけるRBP-Jk遺伝子座は、末梢神経の発生に関与する遺伝子であるSupressor of hairless;Su(H)遺伝子座と同一であることが明かとなった。ショウジョウバエにおける突然変異がRBP-Jk遺伝子産物の分子的性質にどのような影響を与えているか、また、ショウジョウバエRBP-Jk遺伝子がどのような遺伝子の制御に関与しているのかを現在検討中である。 当初、マウス免疫系に関係すると考えられたRBP-Jk遺伝子が、本共同研究によりショウジョウバエ神経系の発生において重要な役割を有することが明かとなった。共同研究の進展は順調であり、次年度には、マウスにおけるRBP-Jk遺伝子の働きが解明できるものと考えている。
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