研究課題/領域番号 |
04044097
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今村 貞夫 京都大学, 医学部, 教授 (30026869)
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研究分担者 |
JOHN R Stanl 米国国立衛生研究所, 主任研究員
田中 俊宏 京都大学, 医学部, 助手 (50188314)
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キーワード | 自己免疫疾患 / 表皮水疱症 / 自己抗体 / 7型コラーゲン / フィブロネクチン |
研究概要 |
自己免疫性水疱症は、皮膚の構成成分に対する自己抗体が標的分子を攻撃し、機能を阻害することにより発症に至ると考えられている。自己免疫性水疱症のなかで表皮下水疱を呈する疾患には水疱性類天疱瘡および後天性表皮水疱症があり、前者の標的分子は既に我々によって単離された。平成4年度は、研究分担者であるStanley博士らの協力をえて後天性表皮水疱症抗原をコードするcDNAの単離に成功し、1992年に発表した。引き続き、患者血清中(NIHより供与)に含まれる自己抗体が認識するエピトープを検索中である。さて、我々が単離に成功したcDNAは表皮一真皮間に局在する7型コラーゲンの非コラーゲン領域をコードするcDNAであるが、本cDNAの全塩基配列の決定と、それに基づいたアミノ酸配列の決定を通じて、7型コラーゲン非コラーゲン領域はフィブロネクチンのタイプIIIドメインと相同性を持つことを世界に先駆けて明らかにした。フィブロネクチンは、細胞と細胞外マトリクスの間に介在し、両者の接着を助ける機能を持つ。我々の研究は後天性表皮水疱症の抗原が細胞の接着に関与する物質と相同性を持つことから、その機能ドメインを考えるうえで重要である。更に本cDNAにコードされる蛋白は、先天性表皮水疱症(栄養障害型)で欠損が報告されている蛋白断片を含む可能性があり、類似の臨床症状を呈する先天性疾患と自己免疫性疾患の関係を考えるうえでも興味深い。以上の様に本研究計画は現在のところ順調に進んでおり、研究中に新たなる知見も加わり、当初の目的は達成されつつある。
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