研究課題/領域番号 |
04044100
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
永田 和宏 京都大学, 胸部疾患研究所, 教授 (50127114)
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研究分担者 |
BENSAUDE O.C エコールノルマール高等研究所, 主任研究員
WELCH W.J カリフォルニア大学, サンフランシスコ校, 教授
MORIMOTO R.I ノースウェスタン大学, 教授
平芳 一法 京都大学, 胸部疾患研究所, 助手 (80199108)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | ストレス蛋白質 / 熱ショック転写因子 / 分子シャペロン |
研究概要 |
1。永田およびMorimotoは共同して、熱ショック転写因子HSFによるストレス蛋白質の発現調節機構について研究した。従来HSFとしては、HSF1およびHSF2が同定され、その遺伝子クローニングがなされてきた。両者は共同して、ニワトリのHSF1およびHSF2を新しくクローニングするとともに、従来のHSFのほかに新しいストレス転写因子HSF3をクローニングすることに成功した。 HSF3は、N末端に近く、DNA結合ドメインおよび3つのロイシンジッパードメインが存在し、これらはHSF1およびHSF2と高いホモロジーを示した。HSF3にはさらにC末端側に第4のロイシンジッパーが存在し、この構造はHSF1およびHSF2と同じであった。そのほかにHSF3には、他のHSFと同様、核移行シグナルと思われる配列が2ケ所に存在した。HSF3の第4のロイシンジッパーを欠失させると、熱ショックをかけないでも3量体を形成して、DNA結合能を持つようになることから、HSF3も他のHSFと同様、N末端側のロイシンジッパーとC末端側のロイシンジッパーとが通常の状態では互いに結合して不活性な単量体として存在し、熱ショックがかかると、このロイシンジッパー同士の結合がはずれて、活性化され3量体を形成して、DNA結合活性を持つようになるものと考えられた。 HSF3は、赤血球系の細胞においては熱ショックなどのストレスによって活性化され、DNA結合能を獲得する。しかし、他の細胞においては、それ自身は熱ショックによって活性化されない。しかしながら、HSF3は、熱ショックによってHSF1が活性化されるのを、相乗的に助けることが明らかになった。すなわち、HSF同士の相互作用が確認されたわけである。熱ショックがかかると、HSF3もHSF1と同様に核に移行し、そこで3量体を形成しながら、HSF1の作用を助けるものと考えられた。 2。永田および平芳は、コラーゲン特異的ストレス蛋白質であるHSP47の機能を調べるため、HSP47が細胞内のどのオルガネラでプロコラーゲンと結合し、どこで解離するかを、in vivo cross-linking法と免疫沈降法に、パルスラベル/チェイス法を組み合わせることで明らかにしようとした。さらに共焦点レーザー顕徴鏡による観察をも併せて行った。コラーゲン分泌を阻害する種々の薬剤を用いて、どのオルガネラまで輸送されたときにHSP47がプロコラーゲンから解離するかを調べた。その結果、プロコラーゲンがcis-golgi networkと呼ばれる領域まで輸送された後に、HSP47は解離することが明らかになった。HSP47自身は、C末端にRDEL(Arg-Asp-Glu-Leu)という配列を持ち、これが小胞体保持シグナルとして働くことによって、いったんcis-golgiまで輸送された後、小胞体へ逆輸送され、全体として見れば小胞体に局在する蛋白質として機能している。この1サイクル毎に、新たに合成されて小胞体へ入ってきたプロコラーゲンをgolgiまで輸送するのに働いているものと考えられる。 3。Welch、BensaudeおよびMorimotoは、HSP70と他の新生蛋白質との相互作用を以前から調べていたが、HSP70と、それ自身の発現を調節する転写因子HSFとの相互作用に関し、きわめて興味深い結果を得た。熱ショックなどのストレスがかかると、直ちにHSFが活性化され、3量体を形成してDNAに結合するようになる。こうしてストレス遺伝子の転写が活性化され、ストレス蛋白質が作られるようになる。ストレス蛋白質が作られてしまうと、それ以上過剰のストレス蛋白質合成をストップするような機構が存在するはずである。このような機構を研究する過程で、彼等はHSP70が、DNAに結合したHSFに解合することで、HSFをDNAから解離差せるように働くことを示唆する結果を得た。これは一種のフィードバック阻害であり、HSFによる制御機構として魅力ある仮説である。現在世界中の多くの研究者によってこの仮説の妥当性が確かめられようとしている。
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