• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1994 年度 研究成果報告書概要

循環器疾患の遺伝因子の分析・予知・予防法確立のための日中共同研究

研究課題

研究課題/領域番号 04044119
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分共同研究
研究機関京都大学 (1993-1994)
島根医科大学 (1992)

研究代表者

家森 幸男  京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (80025600)

研究分担者 李 い和  広東省, 人民医院・広東心血管病研究所, 副主任医師
趙 光腫  上海第二医科大学, 高血圧研究所, 所長
沢村 誠  京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (00187303)
李 泰清  中国国際医学交流センター, 西北分センター国際部, 部長
奈良 安雄  京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (80116417)
ZHOU Guang zhong  Shanghai Second Medical University, Hypertensive Institute
LI Tai xing  China International Medical Center
LI Yi he  Guangdong Cardiovascular Institute, Guangdong Provincial Hospital
研究期間 (年度) 1992 – 1994
キーワード客家 / 高血圧 / 高血圧遺伝子 / 栄養
研究概要

循環器疾患の遺伝因子の分析、予知・予防法確立を目的に、昨年度に引き続いて、中華人民共和国広東心血管研究所疫学部長の李博士の協力を得て、客家集団の故郷である広東省梅県地区において、客家集団を対象とした循環器疾患と栄養に関する国際共同研究を実施した。
梅県地区に居住する客家集団のうち、今までの広東心血管研究所の検診受診者の40-60才の男女を対象とし、男性59名、女性65名の参加者(response rate 78%)を得た。これらの参加者に対し、身体測定、コロトコフ音自動記録血圧計による血圧測定、採血、自動比例採尿カップ(アリコートカップ)による24時間採尿、問診票による病歴および食事に関する調査を実施した。採取された血液、尿のサンプルは標準化された分析センターにて各生物学的指標を測定した。尿中の生物学的指標の検討においては、降圧剤のほか血圧や尿中電解質排泄に影響を及ぼす薬剤の服用者および24時間尿中クレアチニン排泄量を体重との比から24時間尿を適切に採尿できなかったと判断された者を除外した。
肥満度(BMI:Kg/m^2)を算出したところ男20.9±3.2(平均±標準偏差)、女21.5±2.6で、既に調査を完了した中国各地の10集団(北京、石家荘、上海、広州、貴陽、ウルムチ、トリファン、アルタイ、ホ-タン、ラサ)(19.9-26.4)に比較すると、低い値であった。
血圧値は、降圧剤の服用者(男2名、女0名)を除いた平均値(収縮期血圧/拡張期血圧(SBP/DBP)mmHg)は、男127.7±19.5/75.5±12.0、女122.6±20.4/70.3±11.6であり、降圧剤の服用者を含めた高血圧者(SBP≧160またはDBP≧95)の割合は男8.0%、女5.2%、境界域高血圧者(140≦SBP<160または90≦DBP<95)の割合は男20.0%、女13.8%であり、ほかの集団に比べて、高血圧者の割合は少なかった。
24時間尿中ナトリウム(Na)排泄量は、食塩量(g/day)に換算すると男9.9±3.4、女8.8±3.7で、他の集団に比べると、比較的少ない値を示した。同カリウム(K)排泄量(mEq/day)は、男38.0±20.7、女37.5±15.5であり、Na/K比は、男4.7±2.6、女4.4±1.9となり、ややNaに比べてKの値が少なく、野菜や果実の摂取が少ないことが推察された。
24時間尿中タウリン(TAU)排泄量(μmol/day)は、男1437.7±1160.4、女1721.3±1077.1であり、日本の集団(1800-3200)に比べると少ない値であるが、中国の集団(350-1500)の中では多い方であった。TAUは主に、魚介類に多く含まれるアミノ酸であるが、肝臓をはじめとする内臓にも含まれ、フランスなどの内臓食を習慣にもつ地域の住民の尿中TAU排泄量はある程度高いことが、フランスでの国際共同研究で示唆されている(未発表)。梅県住民の魚介類摂取頻度(回/週)は、男1.9±2.2、女1.4±1.5と少なく、魚介類摂取以外に、内臓食の習慣が、TAU排泄量が適度に多いことの原因であると推察された。TAUは、降圧作用のほか、抗動脈硬化作用をもつことが動物実験や臨床研究で示されており、我々の疫学研究(WHO-CARDIAC Study)においても、尿中TAU排泄量と虚血性心疾患による年齢調整死亡率との間に有意な逆相関が認められている。
肉の摂取頻度(回/週)は、男4.2±2.4、女4.0±2.0で、魚介類よりも多く、特に肝臓や腎臓を食する習慣が観察された。
茶の喫飲頻度は、男7.4±8.6、女2.6±4.0であった。
このほか、血液(総コレステロール、リン脂質中脂肪酸)分析や食事や病歴の詳細な分析が進行中である。
父母の生死および死因に関する家族歴調査では、脳卒中や不明の者が多く見られた。死亡年齢も若いものでは40代、50代のものがかなりみられた。
高血圧遺伝子分析のための家系調査では、10家系の協力を得ることができ、そのうち3家系に濃厚な高血圧の家族歴を認め、広東心血管研究所の研究者が追跡調査を実施する予定である。この3家系を中心とした遺伝子分析は現在進行中である。

URL: 

公開日: 1996-04-15  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi