研究概要 |
揮発性有毒有機化合物(気体)の土壌内拡散と吸着については,土壌を充填したコアの両端にガスチェンバーを取付けた実験装置を作成し,TCE,トルエンおよび対照物質としてのフロンガスを用いて測定を行った。そのほか,ヘンリー定数,土壌-水分配係数などの測定も行い,これらの結果からTCE,トルエンの土壌内における拡散係数(D_P)を求めた。空気中での拡散係数(D_A)との比D_P/D_Aは,フロンガスの値と比べて,いずれもやや低いことが明らかになった。 揮発性有毒有機化合物の土壌内における分散と吸着(土壌内で気体の流れがある場合)については,ガスクロマトグラフを用いたマイクロカラム法で,迅速,簡便に測定する方法を開発した。この方法では,無害な窒素ガスを標準物質として用い,毒性のあるTCEガスの使用を最小限に抑えて,分散係数と遅延係数を同時に決定することができる。 土壌内脱窒過程については,これまでに得られた土壌カラム実験データをもとに,定常期における一次反応速度係数を決定し,これらの一次反応速度係数から,供給した窒素の99%を脱窒素により除去するのに要する土壌内距離をZ_<99>と定義して求め,諸因子の影響を評価した。 土壌内硝化・脱窒の非定常解析については,差分化した反応移流分散方程式により硝化・脱窒速度を決定する逆問題モデルを提案した。この方法により,非定常期の硝化・脱窒を定量的に評価することができる。この方法はTCEなど,他の溶質についても適用できる。スクリーニングモデルによる,揮発性有毒有機化合物の環境への影響度の評価に関する研究を進めている。
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