研究課題
過去4年間にわたって、キク科を中心とした日中共通植物について、自生地の調査、生きた株の採集、栽培、染色体観察分析、交配実験などを、日中両国の研究者が共同して研究を続けてきた。いままでの実積を基礎として、この度も日本側研究代表者と分担者全員が中国の調査地へでかけた。研究代表者田中は、天津市北部の丘陵地へでかけ、キク科キク属Dendranthemaの黄花種の自生地調査、生熊調査をし、多数の標本とともに株の採集を行った。谷口は南開大学陳端陽分担研究者と一緒に四川省にでかけ、Dendranthema黄花種の調査、採集にあたった。いくらかの株は採集し、日本に持ち帰って染色体研究の材料としている。近藤と日詰は、予定調査地を変更して、共同で、中国科学植物研究所洪徳元分担者と一緒に甘粛省南部高地(標高3,000m以上)へでかけた。近藤はキク科キク類Ajania属を中心に稀少種の野外デモグラフィー的分析と、標本作成、株の採集日本へ持ち帰り、種子の採集日本へ持ち帰り、等々をやり続けた。持ち帰った材料はすぐに染色体研究に供した。一方、日詰は裸子植物マツ科植物をさがし、集団の調査をするとともに樹型を記緑し、多類の球果を採集した。球果は北京市の中国科学院植物研究所で乾燥させ、種子を取り出して日本に持ち帰った。種子しシャーレに播き、発芽発根してきたものから染色体研究材料とした。得られた結果から順次、学術雑誌に発表できるよう準備している。日詰は蛍光分染による分析に努力している。また中国側共同研究者洪徳元は日本に来て、広島大学に滞在し、ヤマシャクヤクとアカバナヤマシャクヤクを自生地から採集して、染色体と形態研究に供した。もう1人の共同研究者王伏雄も同時期来日し、愛媛県で日本固有のコウヤマキの自生地の分析、生殖器の採集固定をし、中国に持ち帰った。天津市で本研究の総合検討も行った。
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