研究概要 |
細胞周期におけるサイクリンの機能を,サイクリンタンパクのドメイン構造と対応づけて解析した。 サイクリンは,cdc2と複合体を形成して細胞周期におけるcdc2キナーゼの活性を調節しているタンパク質である。サイクリンとcdc2が結合したサイクリン/cdc2複合体は,cdc2プロテインキナーゼ活性をもち,M期の開始に必要である。複合体のサイクリンがプロテアーゼにより分解をうけるとcdc2キナーゼは不活性になりM期が終了する。サイクリンはN末端領域,中央領域,C末端領域の3つのドメインにわけることができる。中央領域にはアミノ酸配列が保存されたサイクリンボックスがある。 本研究では,Xenopus(アフリカツメガエル)サイクリンAの各ドメインに種々の欠失,置換変異を入れた改変型サイクリンをつくり,そのcdc2結合能,キナーゼ活性,デストラクション能を解析した。その結果,(1)サイクリンボックスはcdc2及びcdk2の結合ドメインである.(2)N末端ドメインには,サイクリンの分解に関与するデストラクションボックスがある.(3)サイクリンボックスとは異なるドメインのC末端領域も,cdc2結合及びcdc2キナーゼ活性に必要である.(4)サイクリンがcdc2と結合することが,サイクリンの分解に必須なこと.がわかった。cdc2と結合したサイクリンはリン酸化を受けていることから,我々は,現在,サイクリンのリン酸化がサイクリン/cdc2複合体のコンフォーメーション変化を導き,それが分解のシグナルとなってサイクリンが分解されるのではないかと考え,解析をすすめている。
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