研究課題
IL-5はB細胞や好酸球の増殖や分化を促進するサイトカインである。IL-5は標的細胞上の高親和性IL-5レセプター(IL-5R)を介して作用する。高親和性IL-5Rは低親和性にIL-5結合能を示すα鎖とそれ自身単独ではIL-5結合能を示さないが、α鎖/IL-5複合体と結合し高親和性IL-5Rを構築するβ鎖のヘテロダイマーにより構成される。β鎖はIL-5シグナルの伝達に必須の役割を果すことを明らかにしてきた。今年度は(i)ヒトIL-5Rのβ鎖がKH97分子であること、KH97はIL-3RやGM-CSFRのβ鎖として機能することをトランスフェクションの実験で示した。(ii)マウスIL-5Rα鎖およびヒトIL-5Rα鎖がそれぞれ6番、3番の染色体上にマップされることを示した。(iii)マウスIL-5Rα鎖の染色体遺伝子を単離し、IL-5Rα鎖遺伝子が11エクソンより構成されていることを示し、現在α鎖の発現調節因子ならびに発現調節機構を解析している。(iv)IL-5Rα鎖の細胞質内ドメインがいかにIL-5シグナルの伝達に関与しているか明らかにするため、マウスIL-5Rα鎖の細胞質内ドメインを欠失した変異体をβ鎖とともにリンパ系細胞にトランスフェクトし解析した。その結果、変異α鎖はβ鎖とIL-5を介して結合し高親和性IL-5Rを再構築できるが、IL-5シグナルの伝達ができないことがわかった。即ちα鎖の細胞質内ドメインがIL-5シグナルの伝達にも深く関与していることが判明した。(v)IL-5応答性株化細胞を用いて、IL-5刺激後早期に誘導されるタンパク質のチロシンリン酸化を調べた。その結果、刺激後5分以内にβ鎖を含む4種類のタンパク質のチロシンリン酸化が惹起されることがわかった。これらの実験計画ならびに実験の実施にあたり、海外の共同研究者よりアドバイスを頂き、また一部研究資料の提供をうけた。
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