研究分担者 |
OLIVER Simit ノースカロライナ大学, 医学部, 教授
DAVOR Solter マックス, プランク免疫生物学研究所, 発生部門長
若杉 正司 熊本大学, 医学部, 助手 (50201140)
阿部 訓也 熊本大学, 医学部, 助教授 (40240915)
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研究概要 |
胚盤胞よりのES細胞樹立に関して,これまで129系統マウスが主として用いられていたが,他の近交系マウスであるC57BL/6でも樹立が可能で生殖キメラマウス作製もできるとの情報がもたらされた。ただ,129由来のものよりは効率が悪いことが明らかになっている。また,C57BL/6とCBAとのF_1からもES細胞は樹立され,極めて効率良く生殖キメラマウスが作製されている。しかし,近代系でないことが一つの制約となっている。一方,始原生殖細胞の培養技術が進展し,LIF,Stem cell factor, TGF_β存在下で培養したものを用いてもキメラマウス作製が可能であることが明らかとなり,今後の発展が期待された。 標的遺伝子組換え技術のうち相同遺伝子組換えでは,positivenegative selection においてHSV-tkを使うよりジフテリア毒素Aフラッグメント遺伝子を使う方がより問題が少ないのではないかと考えられた。相同組換えの効率に関しては,遺伝子により著しく異なること,同一遺伝子でも選ぶ場所により異なることが分かっているが,その理由は依然といて不明である。また,相同遺伝子組換えが起こる時に,正常な遺伝子が重複し,一方で組換えが起こり,他方は正常のまま存在しえることもあることが分かった。 遺伝子トラップ法において,トラップベクター内のネオ耐性遺伝子内にはpalyAを除去した方がトラップ効率が上昇すること,良い電気穿孔法の条件改定を行なえば1コピーしか組込まれないこと,内在性遺伝子の一部を容易に単離できること,多くの場合はこれまで未知の遺伝子を単離できること,遺伝子トラップを行なったES細胞を用いて効率良く生殖キメラマウスを作製できることが明らかとなった。しかし,トラップベクターの3′側には10^<Kb>以上の欠失や再構成の生じることが分かり,表現型の出現した時,その原因の同定には注意を要することが分かった。
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