研究概要 |
平成4年度は,研究実施計画に沿って,ジアミノピメリン酸(DAP)の3種類の立体異性体(LL-,meso-及びDD-DAP)の分別法と定量法並びにリジンの定量法を確立した。まず,分別法として,キラルカラム MCI GEL CRS10W(4.6mm I>D> x 50mm)(三菱化成)を使用したHPLC法による方法を確立した。分別の条件は,移動相,2mMCuSO_4:MeOH(98:2); 流速, 1ml/min; カラム温度, 40℃とし,検出は254nmのUV吸収によった。また,分別するDAP試料として,シグマ製の3種立体異性体混合物を10mg/mlの濃度で使用した。その結果,50分以内にDD-,meso-及びLL-DAPの順に溶出することが分かった。なお,各立体異性体の同定は,円二色法スペクトル並びに,LL-DAP生成突然変異株が生成したLL-DAP(ウェルズ大学より入手)により行なった。次に,既報のZanol & Gastaldo(1991)に従い,当研究室の機種(HPLC)を使った各立体異性体体の定量法を検討した。測定条件: カラム,Merck Lichrospher 100 RP-18(4mm I.D. x 250 mm); 移動相,0.05M トリメチルリン酸塩(pH30)と80%アセトニトリルとのグラジエント; 流速,1ml/min;カラム温度,40℃とし,検出は325nmのUV吸収によった。試料として,上記により分別したものを使用した。試料は,HPLCへの注入前に0.2% FDAAのアセトン溶液及び1M炭酸水素ナトリウムと反応させた後,塩酸で反応を止め注入した。その結果,グラジエントの調節により,45分以内にmeso-,LL-及びDD-DAPの順にピークが現われた。これにより,3立体異性の定量が可能となった。リジンの定量法については,基本的には,Weirら(1989)に従い,DAPの定量法と同じカラムを使用し,MeOHと酢酸緩衡液を移動相として,彼らと異なりグラジエントなしで定量することができた。また,DAPの定量法でもリジンを定量できた。
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