研究概要 |
1)ミネソタ大学Johnson研究室で今後に共同研究推進について討論し,第5回ライム病国際会議(Johnsan会長,Arlington,U.S.A.)で国際顧問委員,座長(柳原)を務め,研究発長を行った。 2)日,欧,米のライム病ボレリア分離株に対する単クローン抗体を多数作製して世界各地の分離体の抗原解析を行い,日本のシュルツェマダニ由来株は多様で,その多くは日本独特の抗原構造(日本型)を有していた。従って,日本での診断抗原,ワクチン開発には日本株による特異性の高い菌株を選択する必要を示した。 3)日本分離の8株,欧米の3株に対する抗血清,並びに患者血清,疑診イヌ血清につき上記11株を抗原とするELISAを行いFujiP2,IKA2など日本のマダニ由来株が良好な結果を与えた。 4)ライム病ボレリアの鞭毛蛋白遺伝子を標的とするPCRで,培養菌,実験感染マダニとマウスで419bpの断片の増幅を確認し,また,2段階PCRで10^2個の菌数でも検出可能で,診断と疫学調査に応用できることを示した。B31株OspA遺伝子標的のPCRではB.burgdorferi, B.garinii,一部シュルツェマダニ由来株で増幅され,VS461群,ヤマトマダニ由来株で増幅されないことから分類に応用できることを示した。 5)日,欧,米株のDNAを制限酵素処理,rRNA遺伝子のPCR増幅断片をプロープとするサザーン・ハイブリタイゼーションを行ってRFLP解析し,シュルツェマダニ由来株はB,garinii, VS461群その他に分類され,ヤマトマダニ由来株は新種の可能性を示した。 6)非近交系マウスへの病原性ボレリアの実験感染に成功し,心臓,膀胱から長期に亙りボレリアが分離できること,また,関節炎類似の足趾の腫脹を示すことを明らかにし,ワクチン開発研究のための実験的感染モデルの作製に成功した。
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