研究概要 |
1.花粉由来誘引物質の検索 本学薬草園にて花粉量の多い植物8種から花粉を採取し,T.vivaxの走化反応を検討したところ,ヒオウギの花粉にのみ走化反応が認められたが,その反応性はフクシアに比較して若干弱いものであった。この走化反応は,スライドグラス上に花粉を置き,T.vivaxを感染させたマウスの尾静脈血を添加して観察するのであるが,その際に花粉をカバーグラスなどで緩やかに圧力を加えて,花粉を押し潰すと更に強い走化反応が認められた。そこで花粉を押し潰した状態で走化反応を検討すると,フクシア,ヒオウギ以外にもインドハマユウやチョウセンアサガオの花粉にも走化性を示すことが明かとなった。次に,フクシア,ヒオウギ,インドハマユウ,チョヨセンアサガオの花粉の水,及びメタノールエキスを作成し,走化反応を検討した。実験はビーズ(Gelatin Sepharose 4B)にエキスを3時間浸透させ,これをスライドグラス上で乾燥させた後,感染動物血液を添加するという方法を取った。その結果,フクシアの水エキスに特に強い走化反応が認められ,メタノールエキスにも走化反応が認められたが,他のエキスには認められなかった。またこのフクシアの花粉水エキスは,rodentsの赤血球を凝集させることが明かとなり,lectin様物質の存在が予想されたが,goatやbovineの赤血球は凝集しないことから,まだその詳細については明らかではない。 2.抗トリパノソーマ活性物質の生薬資源からの検索 T.brucei gambiense(Wellcome株)を用いて天然物の抗トリパノソーマ活性をin vitroで検討したところ,現在までにberbelineやgallic acidにトリパノソーマ致死活性が認められている。現在in vitroでの致死活性機構を検討中である。
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