研究分担者 |
李 賢珠 釜山市立博物館, 学芸研究室, 学芸研究士
鄭 光龍 韓国文化財研究所, 保存科学研究室, 研究員
姜 炯台 韓国文化財研究所, 保存科学研究室, 専門委員
薺藤 努 国立歴史民俗博物館, 情報資料研究部, 助手 (50205663)
田口 勇 国立歴史民俗博物館, 情報資料研究部, 教授 (50192159)
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研究概要 |
本研究は,古代の日韓とくに日本の古墳時代と韓国の三国時代における金属工芸技術と製品の交流をより明確にしようとして実施したものである。当時,韓国と友好関係にあった日本は,金属製品とその原材料および技術者を導入した。そのうち導入まもなく国産化に向かう鉄工技術に要する鉄素材の供給源を明らかにする分析研究はまだ有効す段階に至っていないが,非鉄金属製品とくに金銅製品については,銅地板に含まれる錫・鉛・アンチモン・銀・金膜に含まれて銀の含有比率あるいは有無によってその多様性を把握した。これらの比率の相異によって,日本出土品の成分組成が供給源である韓国の新羅・百済・伽耶地域のどの出土品と類似しているかを探 この成分組成の比較による研究が有効であることは,日本の古墳出土品でも確認した。盗堀を受けて一括で発見された6個の銅地銀被せと銅地金銀板被せの耳環を分析し,銀に金を含むか否かおよび水銀の残存率の比較から,製作技法と製作工程の差によって生じた2個一対となる耳環3種を分類することができた。また,日本出土品で純粋に近い錫製の耳環を抽出し,銅・鉄・金などの製品の主材となる原材料に限らず,そこに混入される金属もまた塊として日本に導入されらしいことも推測できるに至った。さらに,日本では各々1例ずつしか類品が発見されていない金銅製巾着形容器と金銅装小刀を分析し,その特殊な製品の成分組成と類似する韓国出土例を調査中である。一方,韓国出土品については,近年とくに日本の関係で注目をあびている伽耶地域の古墳出土品を分析し,データを畜積群の出土品もあり,次年度に継続する研究にてその結果を比較検討する予定である。
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