研究分担者 |
邵 啓全 中国科学院遺伝研, 教授
易 豪雄 江西大学生物系, 教授
前川 雅彦 北大, 農学部, 助教授 (00142703)
王 斌 中国科学院遺伝研, 副所長
平野 博之 遺伝研, 総合遺伝系, 助手 (00192716)
田野 茂光 東大, 農学部, 教授 (80011881)
王 鳳山 天津市労働衛生職業病研究所, 副主任
佐野 芳雄 遺伝研, 総合遺伝系, 助教授 (70109528)
凌 定厚 中国科学院華南植物研究所, 研究員
鮑 世民 中国科学院上海実験動物中心, 副主任
金 〓蕾 中国科学院上海実験中心, 主任助理
何 新橋 中国科学院上海実験中心, 主任
寧 磊 蘭州生物製品研究所, 主任
王 成懐 蘭州生物製品研究所, 名誉所長
呉 政安 中国科学院発育生物研究所, 研究員
土屋 公幸 宮崎医大, 動物実験, 助教授 (30155402)
鈴木 仁 慈恵医大, 医科研, 助手 (40179239)
米川 博通 都臨床研, 実験動物, 室長 (30142110)
宮下 信泉 遺伝研, 生保センター, 助手 (10190779)
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研究概要 |
(動物班)本年度は中国東北部,西北部,内蒙古,長江の両岸等の広い地域から野生マウス個体を採集し,染色体標本の作成,血清の採取,リンパ節の摘出,肝DNAの抽出,剥製標本の作製などを行なった。本年度も沿海州の試料も併せて分析する事が出来たが,その結果,昨年の調査で見出されたように,従来の調査では長江以南に分布すると結論されていたカスタネウス亜種のミトコンドリア遺伝子とリボソーム遺伝子がごく低い頻度ではあるが,中国東北部にも分布することが確かめられた。非常に古い時代にカスタネウス亜種が一度は中国東北部にまで分布を広げ,その後ムスクルス亜種が西の方から移動してきた可能性も考えられる。また,の調査からは,中国西北部の高地にこれまで報告されたことのない新しいヘモグロビンβ鎖遺伝子w1が高い頻度で分布する事が判った。分布域がp遺伝子域の中にあることから,これがp遺伝子に由来することも考えられる。 (植物班)中国科学院遺伝研究所および江西大学と世界最北に自生する東郷産野生イネの遺伝的分化を継続して調査している。東郷産野生イネは,低温に対する低抗やライボソーマルDNAなどの変異から熱帯産野生イネとは異なっており,日本型栽培イネの起源に中国北方産野生イネが重要な役割をもつことが明らかになりつつある。本年は,東郷産野生イネと栽培イネの雑種後代を育成して,東郷に近い江西大学の試験地で栽培し冬期間の低温に対する低抗性の遺伝解析を開始した。アジア産野生イネには,栽培イネとの自然交雑が頻繁に起こるので野生イネ特有の遺伝変異は減少する傾向にあるが,東郷産野生イネには野生系統を特徴ずける変異を保有することがレトロポゾンの地理的分布から推定された。東郷産野生イネに関する調査結果を,多くの中国人研究者の協力を得て出版する計画も順調に進めている。
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