研究概要 |
本研究計画は,日韓が協力して,東アジアの気候変動,黄砂,酸性雨,雪氷,植生変動,大気・海洋循環,汚染等の問題で,学術的科学的情報を交換し,学術研究のための衛星データ,地上検証データ,グローバルなデータセットの収集と交換に協力し宇宙からの東アジアの環境に関する共同研究を推進することを目的とする。 衛星を利用した地球環境の研究において,我国には一日の長があるが,昨年の日韓シンポジュウムで刺激を受け,韓国側も体制を整え,表記の課題と同じタイトルで長期間に及ぶ大規模なプロジェクトを計画している。(Project E M S E A : Environmental Moni-toring from Space of East Asia)広域に渉る東アジアの環境を解明するためには,近隣の国々が検証データを交換し,共同研究を推進することが不可欠であり,先方は我国との共同研究を強く希望している。日韓両国が手を携えて研究を進めていくために,先方の研究者と意見を十分に交換し,有効な共同研究を行う方策を調査することも本研究の大きな目的である。 第2回目の会合は,平成5年1月11日,12日の両日,大田市の韓国先端科学技術大学(KAIST)において日本側7名,韓国側11名が参加して,開催された。全体会議の後は,ワーキンググループの会合を,海洋,気象,土地/森林,水質の4つに別れて討議を行い,最後に全体会議で総括を行った。 (1)海洋の関係では,風・波の能動型マイクロ波リモートセンシング,衛星に搭載されている高度計と散乱計の風・波への利用について日本側から報告が行われ,韓国側からは,韓国海洋研究所におけるリモートセンシングの活動状況が紹介された。討論の後に,今後の共同研究を如何に進めるベきかを議論した。 (2)気象の関係では,乾燥及び湿潤な気象に対する降雨のパターンを見出すこと,水循環の中で種々の降水パターンを決める鍵となるものは何か,これらが全球の気候変動とどの様に相互作用をしていかを検討することになった。 (3)土地/森林の関係では,双方に関係のある題目として,生物による地球に二酸化炭素の固定量を推定する手法,リモートセンシングによる正規化植生指標を用いた朝鮮半島における植物による二酸化炭素の固定の推定手法,植生指標やCZCSを用いたクロロフィルの分布による地球の植生の変化の検出手法等が挙げられた。共同作業として,北東アジアのNOAAデータのモザイク作成,NOAAの較正手法,種々の植生に対する一次生産の現場データの収集等を行うことにした。 (4)水質のモニタリングの関係では,第1年目の活動の総括を行い,両者によりケーススタディーを行った。水質の評価手法が開発され,単一の時機モデルで検証が行われた。第2年目は,多時期にたいしてフージビリティスタディを行う。特に,大気効果補正の手法,現場でのスペクラム測定を行う必要がある。土地利用,公害,産業活動等が湖の水質に及ぼす人間活動の影響を評価する。 第1回及び第2回の参加者に最近の活動状況を示すために,3ヵ月に1回程度,EMSEA Newsletterを発刊するこにとなり,崔教授と高木教授がeditorとなり,金博士と中山博士が編集に携わることとなった。
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