研究課題
高発癌遺伝病の範疇に属する大腸腺腫症『familialadenomatous polyposis(FAP)』の疫学および分子生物学的研究を行うことで、癌発生に関与する遺伝子因子の解明に寄与しようとして本研究を企画した。しかしながらFAP症例は僅少であり、中国に於ては研究を開始した時点である。したがって研究資料の量的確保と互いの研究を促進する目的で日中共同研究を企画することとなった。平成4年度の研究としては、以下の内容を行った。1)中国側から臨床・疫学・分子生物学的研究担当の3名を招へいし、特に日中のFAP症例の実態についての情報交換を主とした研究打ち合せを行った。2)臨床面においては、日本における家族性大腸腺腫症に対する手術術式(回腸肛門吻合術)の実際を見学するとともに、これに対する検討を行った。3)遺伝性腸疫患の分子生物学的研究の基礎として、遺伝疫学的基礎試料の不可欠なことが改めて相互確認され、疫学的研究を行うにあたって、ポリポージスセンターにおける登録方法についての検討を行った。4)日本のおける現在までの分子生物学的成果と、中国における現況を報告し合い、試料などの搬送を含めた今後の研究方向についての検討を行った。この結果、現時点で日本側と中国側とでは研究段階にかなりの開きがある事がわかったが、この点に関しては協同研究項目を限定し相互に試料技術の供与を行なう事で研究が達成される見通しがついた。
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