研究課題
国際学術研究
新しい辺要素を用いた解析法、運動する物体の解析法、交流の周期現象の新しい解析法等の開発を行った。また、三次元自動分割法や電磁機器の最適設計法も開発することができた。さらに、電磁力・トルク計算検証用モデルの実験・解析をし、電磁力・トルク計算法の精度の検討を行った。本研究の成果を要約すれば、以下のようになる。1.各種解析方法に対する偏微分方程式の離散化及び解析プログラムの作成A-φ法、T-Ω法、A-φ-Ω法等の解析手法の検討を行い、解析プログラムを作成するとともに、計算時間、精度の比較検討を行った。2.辺要素を用いた各種解法(A-φ法、T-Ω法)の検討を行い、辺要素を用いれば節点要素よりも計算時間を短縮できることを示した。3.ニュートン・ラフソン法に数理計画法を導入することにより、従来法では収束できないために解くことができなかった三次元非線形問題の解析を可能にした。4.運動する物体の解析法の検討を行い、精度、記憶容量及び計算時間の観点から運動座標系を用いた解析法が静止座標系を用いた解析法よりも優れていることが明らかになった。また、速度項の離散化手法として、風上有限要素法とガラーキン有限要素法の比較を行い、速度に応じて両者を使い分ける必要があることを明らかにした。さらに、時間刻み幅の選定法等の、実機に適用する際の問題点の検討を行った。5.交流で励磁された機器の定常時の三次元非線形渦電流解析が可能な「時間周期有限要素法」を開発することにより、従来のステップ・バイ・ステップ法に比べて、計算時間を1/3以下にすることができた。これにより、従来不可能と考えられていた、非線形渦電流の周期現象問題が解析できるようになり、変圧器タンクの漂遊損モデル(TEAM国際ワークショップProblem21)の解析に適用して、解析法の有用性を示した。6.日本側で電磁力・トルク計算法検証用モデルを作成して実験を行うとともに、ギャップの調整精度、再現性の向上法等、測定上の問題点の検討を行った。さらに、両機関で電磁力・トルクの計算を行い、マクスウェルの応力法、改良エネルギー変位法、磁化電流法の精度の比較検討を行った。7.電磁界解析法と数理計画法を併用することにより、所望の磁束分布等を生ずる電気・電子機器の鉄心や巻線形状の決定が可能な最適設計法の開発を行うとともに、形状の反復修正に適した自動分割法を組み込むことにより、複雑な形状の機器の逆問題解析にも容意に適用できるようにした。また、指定点の数や未知変数の数が、得られた解や計算時間に及ぼす影響の検討、並びに直接探索法やSimulated Annealing法等の種々の最適設計法の優劣比較を行った。8.三次元磁界解析法を実用化する上での1つのネックは、三次元分割図をいかに容易に作成するかということである。そこで、解析対象の輪郭を入力するだけで適度な粗密を有する分割図が作成できる、三次元自動分割プログラムの開発を行った。9.日本側で作成した辺要素を用いた三次元非線形磁界解析法、並びに仏側で作成したプリ・ポスト処理法を駆使することにより、変圧器、リアクトル、小型モータ、アクチュエータ等の三次元磁界解析を行い、小型・高性能化のための指針を得ることができた。
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