研究概要 |
田村は米国オレゴン・アイダホ州境附近のワラワ山地を訪れ,C.Newtonが報告した後期三畳紀二枚貝化石産地を訪れ,採集と化石の産状を観察すると共に,モンタナ大所蔵の二枚貝化石を観察し,一部は借用して研究中である。その結果,C.Newtonが報告したものの中の日本から報告された種,又は類似種はすべて同定が誤りで,共通種はなく,テチス動物群の要素は含むが南米に近いと考えている。ワラワ山地よりC.McRobertsが採集した三角貝は北米の三角貝の系統を考える上で興味深く新種として記載する予定である。又,メキシコのソノラ地区よりの採集品でモンタナ大所蔵標本の三畳紀二枚貝化石のうち三角貝とパレオカルディータを研究した結果,これらがペルー等南米のフォーナに近いことを確認し、発表する。 スタンレーは来日し,日本の三宝山帯より記載されている球磨川及び奈良県吉野村の標本を九大及び大阪教育大の好意で借用し,又田村と共に訪れた両地域及び沖繩を含む他の日本国内の三宝山帯から採集したサンゴ及び礁構成化石(スポンジ・ブライオゾア・ストロマトモルファ及び石灰藻)を検討した結果,アルプス産のテチス化石郡に類似し、米国ワラワ山地のものにも類似種が認められた。一方従来関係が明らかでなかったが南米のペルー産の一部の種にも類似していることが明らかになった。又今回の研究で三宝山帯の三畳紀石灰岩には予定外にサンゴの産出が少なく,又再結晶等により化石構造がこわされていることも明らかになった。これらは発表の予定である。 研究は今後も継続中で,明年度は田村共同研究を通じて入手した環太平洋地域の三角貝をヌスタンレーは田村と共に日本の三宝山帯産のサンゴ以外の礁構成化石についても比較検討する予定である。
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