研究課題
平成5年度は、日本側研究者3名を派遣し、中国側研究者1名を招聘した。国分は中国で盛んに行われている水稲交雑種技術の現状と成果について、農学院研究者との研究交流や施設見学を通して知見を得た。また、益陽にある農学院の実験農場を見学し、水稲交雑種の栽培がどのような生態環境の中で行われ、その栽培技術上の留意点がどこにあるかについて認識を深めることができた。櫛下町は、主として関係する専門分野の研究者との交流を通して、中国南部の水稲害虫の生態的特徴と防除法について知見を得た。また、中国渡米の日本の水稲害虫の飛来経路についても、参考になる研究資料を得た。岩本は前年度に引き続き、長沙市近郊の農村を調査した。水稲生産力の向上・安定化のもとで米価格は低位に推移しており、農家の農業所得は伸び悩んでいる。一方近郊農村では、郷鎮企業発展に活路を求めようとしており、資本や技術員の導入に力を入れている。新しい知見としては、湖南省のような内陸地域にも台湾や香港資本が進出している点であった。招聘研究者の盛孝邦の滞日中の研究テーマは、日本、とりわけ南九州における水稲品種とその育種法に関する研究であった。鹿児島では大学、県試験場、バイオセンターなどでバイオテクノロジー技術の修得に努めた。また、筑波の農水省農研センターを訪問し、日本のトップレベルの水稲育種技術を学ぶ機会を得た。以上の結果、短期間ではあったが、バイテク技術の基本部分を理解・修得できた。他の研究分担者は、前年度訪問時に得た資料や実験素材の分析、および次年度の訪問・派遣の準備にあたった。なお平成4年度の研究成果として、蒋・宮内共同執筆の論文が、湖南農学院の研究紀要に公表予定である。
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