研究課題/領域番号 |
04045049
|
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
笠原 清志 立教大学, 社会学部, 教授 (80185743)
|
研究分担者 |
バーバラ ルドニツカ ワルシャワ大学, 社会学研究所, 助教授
ボグダン チホムスキ ワルシャワ大学, 社会学研究所, 教授
|
キーワード | 旧共産党勢力の復活 / ノーメンクラツ-ラ / ポーランド共和国社会民主主義 / OPZZ / 連帯 / 民主左翼連合 / ポスト.コミュニズム運動 |
研究概要 |
1989年9月に非共産党政権を誕生させ、ソ連、東欧諸国の民主化の先頭を切って改革を推進してきたポーランドはその4年後、旧共産党(統一労働者党)系の二政党の復活を選択した。すなわち、ポーランド国民は昨年9月19日の総選挙で、旧共産党系の民主左翼連合を第一党、そしてそのかつての翼賛政党であった農民党を第二党としたのである。このプロセスにおいて、旧共産党系の二政党の復活が注目されるものの、このことは国民が共産主義イデオロギーを再び支持したというわけではない。むしろ、欧州経済の停滞の中で、ポーランドが性急な市場経済への移行に失敗したため、これに対する国民の不満が失政とは全く無関係な(正確には、政策から排除されていた)旧共産党系の二政党にプラスに作用したと言える。 このような旧共産党勢力の復活は、他方で旧体制下でも共産党内部に若干改革派の運動が存在していたことと無縁ではない。昨年のポーランド共和国社会民主主義及びOPZZのリーダーとのインタビューにおいてもこの種の運動の存在を確認できたし、この種の運動が古い共産主義の破棄と社会民主主義の導入をポスト.コミュニズム運動で可能にしたとも言える。つまり、ポーランドでは、10年に及び連帯サイドの攻撃によってノーメンクラツ-ラや共産党の権威や権力基盤が崩壊しつつあり、このことが内部から自己革新する勢力を生むきっかけになったのである。当該年度の調査は、ポーランド共和国社会民主主義やOPZZのリーダーのインタビューを通じて、以上のプロセスを明確に捉えることが出来た。
|