研究課題
平成5年度は前年度に引き続き、アメリカ合衆国の主要な臓器移植医療センターを訪問して、移植医、クリニカル・コーディネーター、医療ソーシャルワーカー、看護教育者と研究討議を行い、アメリカの移植医療における看護婦の役割についての情報や関連資料を収集し、また、わが国の現状を調べるための調査項目に関して、アメリカの共同研究者と意見を交換した。平成5年度の研究実績の概要は、次の通りである。1.臓器移植における看護婦の役割に関する内外の研究については、わが国には見るべきものが少ないが、アメリカではUNOSが調査研究を予定しているとの情報があり、今後その成果が期待される。2.セントフランシス医療センター、UCLA医療センター、ミシガン大学医療センター、バンダービルト大学医療センターなど主要な移植センターでは、組織的な臓器別移植チームが構成されており、クリニカル・コーディネーター(主に看護婦)および精神科医がその一員として重要な役割を果たしている。3.クリニカル・コーディネーターの中にはレシピエントが自分の経験を生かして活動しているケースがあったり、透析患者のサポートグループに参加するなど、コーディネーターは市民レベルの活動役割を担っている。4.わが国の移植医療における看護婦の役割について、レシピエントはどのような要望と期待を持っているか、また看護婦たちはどのような意識を抱いているかを調べるために、意識調査を実施した。レシピエントについては国内外で移植を受けた63名、看護婦については全国規模689名の回答を得た。現在データを集計中であり、次年度その分析検討を行い、わが国の移植医療における看護婦の役割について最終的な結論を出す予定である。5.厚生省関係のクリニカル・コーディネーター研究班(平賀教授)にも協力し、調査結果を活用していきたい。
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