エンドトキシン・ショックにおける血液接触活性化機構の役割(基礎的・臨床意義)

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04045053
• 研究機関: 湊川女子短期大学
• 研究代表者: 岡本 彰祐 湊川女子短期大学, 学長兼教授 (20030801)
• 研究分担者: IR.W.REDI Ar ウダヤナ大学, 畜産学部・食品微生物, 助教授 ; I Gusti Waya ウダヤナ大学, 医学部・細菌, 講師 ; I Gusti Ngur ウダヤナ大学, 医学部・細菌, 助教授 ; SOETJININGSI ウダヤナ大学, 医学部・小児科, 小児栄養部長 ; 岡本 進 湊川女子短大, 家政学科・生活文化, 助教授 (70152345) ; 虫明 清子 湊川女子短期大学, 家政学科・栄養, 助教授 (70149681) ; 日下部 恵子 湊川女子短期大学, 家政学科・栄養, 教授 (40158100) ; 児島 正巳 湊川女子短期大学, 家政学科・養護, 教授 (90149667)
• キーワード: エンドトキシン / リムルステスト / カブトガニ / エラジン酸 / プラズマカリクレイン / キニノーゲン / 大腸菌 / チフス

研究概要

本年度は本研究課題に関して2年目にあたるが、当初の計画にほぼ沿って、研究が進んだと考えられる。ここに要点を述べる。
(1)チフス患者を対象に疾病経過に伴う血液中菌の検出、ウィダール反応、エンドトキシンの定量を行ない、それぞれの相関性について検討したが、明らかな結論を得るまでには未だ至っていない。
(2)インドネシア産カブトガニ(マルオまたはミナミカブトガニ)から血球ライゼ-トを調製し、エンドトキシン定量のためのゲル化法への応用を試みた。実用化には一層の検討を要する。
(3)大腸菌培養上清液(遊離のエンドトキシンを多量に含む)または標準エンドトキシン添加培地にて乳酸菌(アシドフィルス菌)を培養し、合成基質発色法によるリムルステストを行った結果、エンドトキシンの検出が著しく抑制されることを認めた。なお、大腸菌とアシドフィルス菌の混合培養時におけるエンドトキシンの動向についても検討中である。
(4)ヒトと類似の血液キニン系を有するテンジクネズミにエンドトキシンと同様の作用を持つエラジン酸を静脈注射した結果、きわめて特徴的な血圧降下(とくに脈圧の減少と最高血圧の低下)を観察した。この現象は岡本がかって観察した慢性下痢症の一型を想起させた。また、同時に血中プレカリクレイン、プラズマカリクレイン、高分子キニノーゲンの消耗およびプラズマフィブリノーゲンと血小板の減少を認めた。なお、エラジン酸によって誘導される血圧降下は新規合成アンチプラズミンとアンチプラズマカリクレインの二重作用を持つ物質によってはじめて効果的に制御されるという端緒を得た。なお、また本実験を通してプラズミンに類似の蛋白分解酵素を見出したので、目下その同定にあたっている。
(5)ウダヤナ大学の分担・協力研究者等と数回に亘ってミーティングを行なった。

研究成果

• [文献書誌] Masami Kojima: "A study on the relationship of cell populations and endotoxin in cultivation of gram negative bacteria-Comparison among species-" 湊川女子短期大学紀要 Minatogawa Joshi Tanki Daigaku Kiyo. 26. 133-135 (1993)
• [文献書誌] Masami Kojima: "Effects of lactic acid bacteria on the detection of endotoxin" 湊川女子短期大学紀要 Minatogawa Joshi Tanki Daigaku Kiyo. 27(in press). (1994)
• [文献書誌] A.Hijikata-Okunomiya: "A strategy for rational approach to design synthetic selective inhibitors." SEMINARS IN THROMBOSIS AND HEMOSTASIS. 18. 135-149 (1992)
• [文献書誌] Takefumi Matsuno: "Clinical application of the synthetic thrombin inhibitor,Argatroban(MD-805)" SEMINARS IN THROMBOSIS AND HEMOSTASIS. 18. 155-160 (1992)
• [文献書誌] Keiko Wanaka: "Synthesis of trans-4-aminomethylcyclohexanecarbony1-L-and D-phenylalanine-4-carboxymethylanilide andexamination of their inhibitory activity against plasma kallikrein" Chem.Pharm.Bull.40. 1814-1817 (1992)
• [文献書誌] Naoki Teno,: "Development of Active Center-Directed Plasmin and Plasma Kallikrein Inhibitors and Studies on the Structure-Inhibitory Activity Relationship" Chem.Pharm.Bull.41. 1079-1090 (1993)
• [文献書誌] Y.Fujimori,: "Effects of a highly selective plasma kallikrein inhibitor on collagen-induced arthritis in mice." Agents and Actions. 39. 42-48 (1993)
• [文献書誌] Shosuke Okamoto: "Agents and Actions,Suplement(Recent Progress on Kinins)" Birkhaeuser(Barel,Boston,Berlin), 663 (1992)
• [文献書誌] Shosuke Okamoto: "The Design of Synthetic Inhibitors of Thrombin(in press)" Plenum Publishing Co.(London), (1993)
• [文献書誌] Shosuke Okamoto: "Method in Enzymology(Vol.222)Part A" Academic Press,Inc.(San Diego,New York,Boston,London,Sydney,Tokyo,Toronto), 613 (1993)