研究課題/領域番号 |
04101002
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研究種目 |
特別推進研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山崎 敏光 東京大学, 原子核研究所, 名誉教授 (80011500)
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研究分担者 |
伊藤 泰男 東京大学, 原子力研究総合研究センター, 助教授 (40011150)
森田 紀夫 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (30134654)
早野 龍五 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30126148)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1996
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キーワード | 反陽子 / レーザー分光クタ / ヘリウム / パイ中間子 / NUCLEUS |
研究概要 |
1。CERNの低エネルギー反陽子リング(LEAR)からの反陽子ビームをもちいて、反陽子遅延消滅時間スペクトル(DATS)を精密に測定する装置を作り、さまざまなヘリウム媒質中でのDATSを研究した。液相のみならず、気相においても3%の反陽子が3マイクロ秒の平均寿命を示すこと、それが微量の不純物ガスにより短寿命化することがわかった。 2。この現象を微視的に解明するため、レーザー分光の方法が考案され、そのための装置が作られた。長寿命状態と短寿命状態との間にパルス状レーザーによって共鳴転移が起こった場合、DATS上に鋭いスパイクが現れると予想して、共鳴の探索をおこなった結果、波長597.26nmのところに共鳴転移が初めて見つかった。二つのレーザーを用いて共鳴強度の時間相関を測定することにより、親の準位の寿命と初期占有率が決定された。その結果、ヘリウム中の反陽子の異常な長寿命性は中性の反陽子ヘリウム原子の高角運動量状態によるものであることが明らかとなった。この原子はそれ自身、分子としての性質をもつため、アトムキュールと名づけられた。 3。こうして確立したレーザー分光によって、新しいレーザー共鳴が次々と見つかり、アトムキュールの構造が決定した。観測された共鳴は長波どれもKorobovによる相対論的補正を含んだ理論値と100万分の5程度で一致することがわかった。さらにアトムキュールの準位が超微細構造をもつことが明らかにされた。構造定数が決定された。また、各準位の寿命がヘリウム媒質の密度に依存すること、微量な水素分子によって激しく短寿命化することが明らかとなった。
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