研究課題/領域番号 |
04102002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉本 大一郎 東京大学, 教養学部, 教授 (10022592)
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研究分担者 |
牧野 淳一郎 東京大学, 教養学部, 助手 (50229340)
井田 茂 東京大学, 教養学部, 助手 (60211736)
泰地 真弘人 東京大学, 教養学部, 助手 (10242025)
戎崎 俊一 東京大学, 教養学部, 助教授 (10183021)
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キーワード | 専用計算機 / 並列計算機 / LSI / 重力 / 多体問題 / 星団 / 銀河 / 銀河団 |
研究概要 |
本年度は、超高速重力多体問題専用計算機に用いる専用LSI、HARPチップの仕様の決定、およびその論理設計を中心に行った。 LSIの仕様としては、まずHARP(Hermite AccerelatoR Pipe)アーキテクャーを考案した。それは、これまでに開発してきたプロトタイプ機GRAPEで計算していた、多体系の各粒子に作用する加速度にくわえて、加速度の時間微分も計算するものである、HARPではエルミート・スキームに基づく計算コードを用いるが、その場合、同じ精度の要求に対してより大きい時間ステップをとることが出来るので、全体として計算はより高速に実行されることになる。 LSI設計の基礎とするために、汎用LSIを用いたプロトタイプ機として、HARP基板を構築した。この基板は約200Mflopsの速度をもつ。現在、この基板を用いてHARPのための計算コードを開発している。そのほか、新しく「仮想マルチパイプライン」構成を考案した。この構成では、同時に2つの粒子について加速度を計算するので、外部とのデータ転送速度を半分に下げることができる。したがって、LSI内部をより高速に動作させることができる。こうして、HARPチップは最悪時でも600Mflops相当の性能をもっと期待される。これはCMOS LSIチップ1個の性能としては世界最高である。このときの動作周波数は30 MHz,消費電力は約5Wである。通常条件では45MHzで動作し、900Mflopsの性能になると期待される。これは当初計画の1000Mflopsよりやや少なめであるが、その理由は、当初予定していた0.8ミクロンのプロセス技術が業界で立ち上がるのが間に合わず、1.0ミクロンの技術を用いたためである。しかし、マルチチップ・モジュールを採用して総チップ数を増し、この性能減を補うよう設計中である。LSIの論理設計は計画通り順調に進行しており、来年度前半にはサンプルチップが完成する予定である。
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