研究概要 |
今年度は、昨年度完成した重力多体計算機GRAPE-4システムの調整、必要なソフトウェアの開発を行ない、実際にGRAPE-4を用いて球状星団、銀河団等のシミュレーションを行なった。シミュレーションを円滑に行なうために、GRAPE-4のホスト計算機として働くワークステーションを2台、また、結果の解析用ワークステーションを2台、結果の可視化(Visualization)用のワークステーションを1台それぞれ購入し、ホスト計算機のメモリを強化した。 もっともめざましい結果は、世界で初めて粒子系で重力熱力学的振動が起きることを確認したことである。これは球状星団などの重力多体系の中心密度が非常に振幅が大きくしかもカオス的な非線形振動を起こすという現象である。粒子数が20,000以上では起きる可能性があると理論的に予測されていたが、従来の計算機を使ったシミュレーションでは最大の粒子数は5,000でありはっきりした結果はなかった。GRAPE-4では32,768粒子のシミュレーションが可能になり、その結果粒子系で重力熱力学的振動が起きることを確認できた。 また、銀河中心におけるブラックホール連星系の進化についても研究を進めた。GRAPE-4を使ったシミュレーションで、529Gflopsという世界最高の計算速度を達成し、IEEE Computer SocietyからGordon-Bell Prizeを授与された。
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