研究概要 |
1.MQW変調器を用いた光パルス列発生とソリトン周回伝送実験 DFB半導体レーザと電界吸収型半導体光変調器を用いて繰返し周波数10GHz,幅27psecのフーリエ変換限界に近い光パルス列を発生した。発生した光パルスを1周20kmの分散シフトファイバループを周回させて伝送実験を行った。伝送距離200kmにおいて、光パルスのピークパワーに応じてパルス圧縮・パルス拡がりを観測した。さらにピークパワーがソリトンパワーの時、伝送距離1,000kmにおいてもパルス幅の変化は見られず光ソリトンが形成されたことを確かめた。 2.非線形増幅ループミラーによるソリトン制御 光ソリトン伝送路に過度に帯域の狭い帯域制限フィルタをおいた時ソリトンが不安定になる。この不安定性が、非線形増幅ループミラー(NALM)による非線形利得を伝送路中に挿入することで効果的に抑圧できることを数値シミュレーションで証明した。さらに、NALMを用いて光ソリトンの断熱圧縮が可能であることを証明した。また、波長分割多重ソリトン伝送系にNALMが挿入された時のソリトン衝突の影響を計算し、NALM中での衝突を避けるシステム構成が望まれることがわかった。 3.摂動逆散乱法を用いた2ソリトン解の解析 摂動逆散乱法を用いて2ソリトン解の厳密解を解析することを提案した。自己誘導ラマン効果を考慮した伝送系について解析を行い、ソリトン相互作用のメカニズムを散乱パラメータの変化により説明可能であることを明らかにした。 4.帯域制限フィルタによるサブピコ秒短光ソリトンの制御 サブピコ秒の極短光ソリトンでは、自己誘導ラマン効果や3次の分散効果のような、ファイバ中の高次の非線形効果の影響が顕著に現れる。ここでは光ファイバの帯域を制限し、位相変調または帯域制限特性に利得勾配を持たせることで、サブピコ秒ソリトンの速度を固定し、安定に伝送しえることを明らかにした。 5.光ソリトンIM-DDと光ソリトンPSKの伝送距離比較 光ソリトンの位相を変調する光ソリトンPSK方式を提案した。本方式では、パルス全体にわたって一定である位相を検出するため、隣接ソリトンとの相互作用による位置ずれの影響が通常のソリトンIM-DD方式より少なくなる。数値シミュレーションを行った結果、ソリトンPSK方式の方が無歪伝送距離が長いことを明らかにした。
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