研究概要 |
可視・近赤外領域単一周波数レーザーシステム,紫外領域単一モード波長自動選択・波長自動補正可能なレーザー計測システム,光・磁場・直線分子線真空装置および光・磁場・交差分子線真空装置の設計・製作とドプラーフリー偏光分光法,ドプラーフリー光・光二重共鳴分光法の装置を整備・製作はほぼ計画通り達成でき、いくつかの成果を得ることが出来た。光共振器によるドプラーフリー二光子励起分光、衝突・反応実験では、感度の改善を行っている。 A)可変な外部磁場下でCs_2の分子線に、直角方向から波長自動掃引単一周波数色素レーザー光を照射し、Cs_2 D^1Σ_u^+-X^1Σg^+遷移について、励起分子および解離生成したCs(6^2P_<3/2>)原子からの発光を分離して検知しつつ波長掃引し、ドプラーフリー励起スペクトルを測定した。外部磁場による吸収スペクトル線形の変化,解離確率の変化を発見し、磁気前期解離の電子・振動・回転状態依存性を明らかにした。さらに解離生成した原子の方位磁気量子数依存性を直接観測する実験をすすめている。 B)^<23>Na^<85>Rb分子のB^1Π,(1)^3Σ^+,(2)^3Σ^+,(1)^3Π_1状態について、ドプラーフリー偏光分光法および発光波長選択ドプラーフリー励起スペクトルを測定した。これを解析し、分子定数,ポテンシャルエネルギー曲線,超微細構造,スピン密度と準位間相互利用を明らかにした。 C)^<23>Na^<39>K分子の高励起状態:リードベルグ状態について、ドプラーフリー光・光二重共鳴偏光分光法による研究を行った。これにより、5個の電子状態を発見・同定すると共に、準位間相互作用や超微細構造を見いだし、その機構を解明した。 D)紫外領域自動波長可変レーザーと光・磁場・直線分子線真空装置を活用し、CS_2分子のV-X遷移についてドプラーフリーの吸収およびゼーマンスペクトルを測定し、一重項と三重項間の摂動を明確にした。
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