研究課題/領域番号 |
04102006
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研究種目 |
特別推進研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
名取 俊二 東京大学, 薬学部, 教授 (50012662)
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研究分担者 |
倉田 祥一郎 東京大学, 薬学部, 助手 (90221944)
久保 健雄 東京大学, 薬学部, 講師 (10201469)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | センチニクバエ / 生体防御 / 固体発生 / 抗菌性蛋白 / ザ-ペシン / 成虫原基 / カリウムチャンネル / プロテアーゼ |
研究概要 |
この特別推進研究では、当初5項目の研究計画を提出した。各項目について3年間研究を行った結果、それぞれに見るべき成果が得られた。『昆虫の生体防御蛋白の持つ二重機能性』に関しては、生物学における新しいパラダイムとして同分野の研究者の注目を集めている。これは、抗菌性蛋白あるいはレクチンといった生体防御蛋白は本来、二つの異なる機能を発現しうる構造を持っており、生体防御が活性化される時期と、固体発生の過程でそれぞれの機能を発揮するのではないかという仮説である。この仮設に沿っていくつかの実験を進めた結果、新たに抗菌性蛋白のザ-ペシンBにそのような二重機能性が見出された。すなわち、この蛋白は抗菌活性のほかにカリウムチャンネル阻害活性があることが判明した。カリウムチャンネルは脳の形成過程で発現するので、おそらくザ-ペシンBは脳の発達する段階でなんらかの寄与をおこなっているものと考えられる。この考え方の延長として、ザ-ペシンBの抗菌活性に必要なドメインを同定する方向へ研究が進展し、ザ-ペシンBのNMR解析が進んだ。そしてアミノ酸7番目から17番目までの11残基のα-ヘリックス部粉が抗菌活性を担うことを明らかにした。更に、このアミノ酸11残基よりなるペプチドの構造を改変し非常に抗菌力の強い人工ペプチドの作出にも成功している。また、『生体防御蛋白遺伝子の発現調節機構』に関しても、いくつかの新しい知見を記載することが出来た。新しい転写因子ATBPのcDNAクローニングに成功し、その一次構造を解明したが、これは昆虫だけでなく広く生物一般に敷延できる転写因子と考えている。
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