研究概要 |
1.C末端配列;(i)気相過フッ化酸法については一応終わったので(ii)気相過フッ化酸無水物法に研究を集中した。水分が反応の妨害をすることを見い出し全ての反応をグローブボックス中乾燥窒素ガス気流中で行い、十分再現性ある実験法を確立した。副生成物として-1、-18、-46分子イオンはほぼ全てを特定することが出来た。又反応機構としてオキサゾロンを中間体として経ている事を示した(2つの短報を発表し、詳報を投稿中)。大きな蛋白質への応用は、CNBr分解で断片化し、アミノプロピルグラスによりC末断片のみを取り出し、配列分析を可能とした(速報投稿中)。2.N末端配列;エドマン分解の中間体ATZアミノ酸に蛍光性アミンを反応させて高感度する方法として、蛍光長の異なるアミノフルオレセインとテトラメチルローダミンの2種の蛍光試薬を交互に用い、前段階の影響を除く方法を開発中で、配列決定の改良と高感度化を目指している。3.気相無水ヒドラジンを20℃で16時間反応させ、AsnのC末端側とGly-Gly結合を特異的に分解する事を見い出した。この新しい限定分解反応は蛋白質の特異的断片化として新規である(詳報発表)。4.二次元電気泳動;一次元目にimmobilineを導入し、pH3から10の間で、0.1pH単位まで再現性よく等電点電気泳動を行う事を可能にした。又標準マーカー蛋白質を5種類から9種類に増加しスポットの同定を容易にした。本年度導入した画像解析装置により、イネ全蛋白質として4,892個のスポットを同定した。約150個のスポットについて、配列分析を行い、1/4については、ホモロジー検索で蛋白名を特定した(詳報印刷中)。ゲノム解析が始まり蛋白質との対応が必要なArabidopsisについても4,800個のスポットを同定し、40個を配列分析した。以上1〜4について本年度の生化学会及び関連国際会議で発表した。今後は1(ii)を中心に反応機構、ESIの適用を含めて蛋白質への実用化の諸問題と正面から取り組みたい。
|