研究課題
1.マウスFM3A細胞より分離したユビキチン活性化酵素E1温度感受性変異株の変異点の決定:マウスE1の完全長cDNAをクローン化し、全塩基配列を決定した。11株のE1変異株について変異点をRNA-PCRによって決定したところ、(イ)全てcoding領域、しかもヒト、マウス、コムギ、出芽酵母間で共通アミノ酸である部位が変わっていた。また、(ロ)変異点はE1蛋白質のC末端側半分の領域に集中していた。2.変異E1とE2分子種との相互認識の変化の解析:S期進行に異常をもつE1変異株を用いてS期に必須な蛋白質のユビキチン化を仲介すると思われるE2分子種を、非許容温度におけるE1からE2への標識ユビキチンの転送反応の低下としてみつけた。そのクローン化が急がれる。3.E1酵素のリン酸化による活性調節の検討:E1mRNA量は細胞周期で変動が見られなかった。一方、大腸菌で発現したマウスE1はcdc2キナーゼによってin vitroでリン酸化され、活性は2倍以上に増加した。また、in vivoでE1のリン酸化を確認した。4.サイクリンのユビキチン化と細胞周期との関係:大腸菌で発現され精製したヒトサイクリンBのユビキチン結合を精製したE1とE2を用いて検討したが、明瞭な結合を確認できなかった。このことは、サイクリンBがcdc2キナーゼと結合状態のときのみユビキチン化される可件性を示す。5.姉妹染色分体交換(SCE)遺伝子の同定:CHO細胞から分離した高頻度SCE温度感受性変異株の変異を相補するヒト遺伝子をクローン化し構造決定したところ、RNAポリメラーゼIIのlargest subunitと同定された。その因果関係についての検討が急がれる。
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