研究分担者 |
十川 和博 東北大学, 理学部, 助教授 (80175421)
藤沢 淳子 国立精神神経センター神経研究所, 遺伝工学部, 室長 (60209038)
審良 静男 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (50192919)
山梨 裕司 東京大学, 医科学研究所, 助手 (40202387)
南 康博 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (70229772)
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研究概要 |
私達は細胞の増殖と分化,特に癌化に関与するタンパク質を介した細胞の増殖機構,およびそれら遺伝子の発現機構を分子レベルで解析している。まず,サイトカイン受容体を介したシグナル伝達機構においては,G-CSF受容体やM-CSF受容体(CSF-1)受容体,IL-2受容体β-鎖の細胞質領域が,少なくとも2コの機能ドメインに分けうることを示した。すなわち,M-CSF,G-CSF受容体に関しては増殖,あるいは分化のシグナル伝達経路であり,IL-2受容体β-鎖に関してはc-fos/c-junへの経路とc-mycへ到る経路である。またエリスロポエチン受容体とEGFやM-CSF受容体とのキメラタンパク質を作製し,これら違った受容体群の間のキメラ分子も機能しうることを示した。一方,FGF受容体の一種であるK-samタンパク質は未分化型胃癌で高頻度に発現されていることを示した。また、細胞ヘアポトーシスの情報を伝達するFas抗原がマウスlpr変異の構造遺伝子であることを示し,この受容体様タンパク質の欠陥はある種のT-細胞の異常増殖をひきおこすことを示唆した。 一方,転写因子に関してはc-mycと会合して,その標的部位に作用するタンパク質のcDNAやP-450のプロモーター領域に結合するAh-受容体,BTE結合タンパク質のcDNAを単離した。また,昨年度の本研究で単離した転写因子NF-IL-6の活性がカルモジェリン依存性キナーゼや,MAP-2キナーゼにより制御されていることを示した。一方,節分化を決定する転写因子myogeninのプロモーター領域をlacZに結合した遺伝子をもつトランスジェニックスマウスを作製し,myogeninの発現組織,発現時期を同定した。さらに,癌違伝子lynのプロモーター領域にtaxによる活性化部位を同定するとともに,HLAクラスII遺伝子はその産物に個体差があるばかりでなく,転写機構にも個体差が存在することを示した。
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