研究分担者 |
河野 公俊 大分医大, 生化, 助教授 (00153479)
岡田 浩佑 広島大, 医・病院, 助教授 (00034075)
加藤 潤一 東大, 医科研, 助手 (10194820)
筒井 研 岡山大, 医学部, 助教授 (70108158)
広瀬 進 国立遺伝研, 遺伝形質, 教授 (90022730)
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研究概要 |
アドリアマイシン,エトポシド等の臨床使用の抗癌剤,開発中のCPT-11,MX-2等の有効な抗癌剤が細胞のDNAトポイソメラーゼ(トポ)を標的として殺細胞効果を発揮している事が明らかにされ,トポの重要性が注目されている。本研究ではDNAトポロジーとトポの生物学的役割を明らかにする研究と,その癌化学療法への応用研究から成る。前者では,1)種々の特異的トポ抗体を作製しトポの挙動を同定した。2)カイコとショウジョウバエのsupercoil化因子(SCF)cDNAをクローン化し抗体も調製し胚発生過程での同因子の挙動を解析した。3)DNAを核マトリックスに固定する機能を持つSP120タンパクcDNAをクローン化し抗体も調製した。蛍光抗体法によりSP120タンパクの核内局在性を同定した。4)ラットのトポIIAとトポIIBのcDNAをクローン化し,in situ法によりmRNAの組織分布を調べた所,増殖している組織にのみIIAが,また全組織にIIBmRANが検出された。特に脳内では両mRNAの分布は特徴的であり,それぞれ独自の機能を行っている事を示唆した。化療関係では1)CPT-11耐性マウス細胞では,ヒトのCPT-11耐性細胞CPT-K5と同様に細胞のトポIがCPT耐性となっていた。その変異部位は361番のGlyが,Argに,628番のValがIleに変異していた。2)エトポシド耐性ヒト小細胞肺癌細胞では野性型のトポIIαの著しい減少があり,これが耐性の原因と考えられた。また別なエトポシド耐性株では,トポIIのリン酸化が亢進していた。3)細胞培養によりトポ阻害剤と他剤との併用化学療法を試みた所,その組合せ,投与法によって拮抗的にも,相乘的にも働きうる事が示された。以上,トポの生理機能の解明によって,その化学療法への応用もより合理的となり,より有効な化学療法へと発展する事が期待される。
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