研究概要 |
(1)腫瘍細胞浮遊液を用いたin vitro実験において超音波との併用でフォトフリンII(PhfII)が抗腫瘍活性化されることを見いだした。 (2)マウス固形腫瘍colon26,ラット固形腫瘍AH130を用いたin vivo実験で、超音波とPhfIIの併用が超音波単独、または薬物単独と比較して、著しい増殖抑制を示すことを確認した。 (3)薬物投与後の超音波照射時期を決定する目的で、PhfIIの血漿中、組織中、腫瘍中濃度を測定し、薬物速度論的に解析した。 (4)臨床使用と深部腫瘍治療実験を目的として、位相差配列型(phased array)超音波照射装置を作成し、ラット肝臓癌MRMT1を用いて深部到達性、集束性、抗腫瘍効果を確認した。 (5)腫瘍細胞浮遊液を用いた実験で、一重項酸素の消去剤であるヒスチジン、またはトリプトファンの添加が、超音波とPhfIIの併用処置の殺菌細胞効果を著しく阻害することを認め、殺細胞作用機序における一重項酸素の関与を確認した。 (6)電子スピン共鳴(ESR)を用いて、超音波照射によるOHラジカル,スーパーオキサイドラジカル、一重項酸素の産生と、PhfIIの添加による一重項酸素産生増強を確認し、さらに各種活性酸素種スカベンジャーを用いて、各々の関与の大小を検討した。 (7)一重項酸素の寿命を延ばす重水(D_2O)中の実験で、一重項酸素の主要な役割を確認した。 (8)イミダゾールとRNO(Pニトロソアニリン)の還元実験から、一重項酸素の生成を確認した。 (9)飽和ガスを変えた実験から、キャビテーシヨン中の温度が薬物活性化に関係することを示した。 (10)酸素濃度の影響をin vitro,in vivoの実験で検討し、低酸素下では一重項酸素の発生、殺細胞効果、及び治療効果が低下することを見いだした。
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