研究課題/領域番号 |
04152134
|
研究機関 | (財)佐々木研究所 |
研究代表者 |
前川 昭彦 佐々木研究所, 病理部, 部長 (30106182)
|
研究分担者 |
杉下 匡 佐々木研究所附属, 杏雲堂病院・婦人科, 部長 (30132765)
路 進 佐々木研究所, 病理部, 研究員 (10240433)
高橋 正一 佐々木研究所, 病理部, 主任研究員 (50132767)
|
キーワード | 子宮内膜腺癌 / 子宮内膜過形成 / Donryuラット / F344ラット / ENNG(エチルニトロソグアニジン) / 性周期停止ラット / エストロジェン / 子宮癌修飾因子 |
研究概要 |
1.早期かつ高率な子宮癌誘発を試みる目的で、10周齢のDonryuおよびF344ラットを用いエチルニトロソグアニジン(ENNG)20mg/kgを経腟的に子宮腔内に単回投与し、15ヶ月齢まで観察した。Donryuラットでは投与群で子宮内膜過形成の頻度および程度が増強し、内膜腺癌も対照群の0%に対し、投与群26%との有意に増加したが、F344ラットでは腺癌の発生に差がみられなかった。その結果、発癌剤による子宮癌誘発において、Donryuラットの高感受性と共に、発癌剤の子宮腔内投与法の有用性が示された、10ヶ月齢の両系統ラットを用いて同様の処置を行い、18ヶ月齢まで観察した実験では両系統共に子宮癌発生に差を認めず、子宮癌誘発に及ぼす加齢の影響は認められなかった。 2.Donryuラットを用い、7週齢時より室内照明を終日点灯することにより作成した性周期停止ラットでは、内分泌学的には加齢に伴う性周期停止状態と同様の血中性ホルモン動態を示し、病理組織学的には早期より内膜上皮の過形成が発現したが、実験終了時(12ヶ月齢)での腺癌発生は5%と、正常ラットに比べ差がみられず、内分泌異常だけでは子宮癌の早期かつ高率な誘発は因難であった。同ラットにENNGを投与すると子宮癌の発生が26%にみられ、本実験においても発癌剤の子宮腔内投与の有用性が確認された。ENNG投与に加えエストロジェンを与えた群ではENNG群との間に子宮癌発生率には差を認めなかったが、子宮癌の40%に著明な浸潤がみられ、エストロジェンの子宮癌進展への影響が示唆された。 3.Donryu,F344両系統ラットにN-nitrosobis(2-oxopopyl)amine(BOP)を経胎盤投与し、78〜80週齢まで観察した結果、共に卵巣顆粒膜細胞腫/黄体腫が高率に発生し、子宮内膜過形成の発生も増加したが、卵巣腫瘍と子宮内膜病変との相関ははっきりしなかった。
|