研究概要 |
1.陸棚域における高潮の流動構造:台風シーズンにドップラー流速計(ADCP)を田辺湾湾口に海底設置して,2カ月間連続観測を行い,回収に成功したが,内部回路の故障により,記録は取れなかった.平常時の湾口部の潮流の実態を明らかにするため,大潮時にADCPの曳航観測を行い,半日間の潮流の3次元分布の変化を観測した.この際にはSTD観測も実施した.前年に観測した2カ月間のADCPの記録を白浜海洋観測塔の連続海象観測および湾沿岸の水位観測とあわせて解析した.水位においては月齢にともなって規則正しく大潮と小潮が交代していながら,流れにおいてはその2倍の周期の変動が卓越していた.今年は田辺湾に台風が1回も直撃しなかったが,ADCP海底設置用架台を利用しての長期設置観測の技術を確立することが出来た. 2.陸棚海況変動と高潮の関係:衛星画像およびフェリーによる水温モニターによって,黒潮から沿岸にいたる海況変動を追跡し,沿岸異常潮位との対応を調べている.また,高潮発生時の黒潮および沿岸の海況を解析した. 3.数値モデルの開境界条件および鉛直循環流の検証:流れの乱流特性を考慮した準次元高潮数値モデルを構築し,モデル水路を用いた各種テスト計算を行なった後,モデルを田辺湾に適用し,ADCPによる潮流,吹送流観測の結果との比較,検証を行なった.
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