研究概要 |
本研究の主たる目的は,沖法における台風災害対策に資する基礎的研究を推進することにある。この目的を達成する為に,以下に示す防災要因分析について検討した。 1.ハード面における防災要因分析 先ず,災害要因として最も包括的な要因である急傾斜地崩壊危険度の評価を行った。評価パラメータは,一件につき急傾斜地延長,高さ,傾斜度等60もの項目から成る膨大なデータとなる為,データベースシステムの開発を行った。本データベースシステムは自然斜面データベースと人工斜面データベースのものの2つから構成されている。本データベースシステムよる要因分析の結果,斜面の崩壊発生要因として,斜面規模,斜面地形・方位,地質・土質,植生の種類,危険度,土地利用状況,斜面崩壊履歴及び状況等が重要であり,それらの寄与率特性が明確となった。 次に入力要因として,台風極値の要因分析を行い,これに基づき沖縄における台風の周期性と防災力の相関評価を行った。台風極値及び台風災害は,沖縄における台風災害データベースシステムを開発することにより,データ化した。本システムによる要因分析の結果,不連続性の強い台風災害データよ対する周期特性評価法の提案を行った。又,台風極値と災害周期の相関性を評価した。 2.ソフト面からの防災要因分析 社会環境で評価される防災要因として,沖縄の住環境特性評価を行った。沖縄戦後の住宅不足は唯一の地上戦地であッたことから極めて深刻で,早急な住宅供給が大きな課題となった。そのような中で多くの木造二階建住宅が建設され,その分布には地域的差異が生じた。住意識調査の結果,住居者側の建設意識とその集中地区への住居理由は,それぞれ土地の狭さと土地への強い執着が大きな原因となっており,これらは防災評価指標を基準化する際の重要な要因であることが明らかとなった。
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