研究課題/領域番号 |
04202108
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中西 準子 東京大学, 環境安全センター, 助教授 (10010836)
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研究分担者 |
鈴木 規之 東京大学, 工学部, 助手 (40196853)
岡 敏弘 滋賀県琵琶湖研究所, 研究員
高橋 敬雄 新潟大学, 工学部, 助教授 (70134955)
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キーワード | リスクアセスメント / リスク・便益解析 / 健康影響 / 化学物質規制 / 白アリ防除剤 / 発がん性 / 環境政策 / 余命損失 |
研究概要 |
化学物質の規制の原理を考えるために、我々の社会が、化学物質の規制において、どれだけの費用をかけて危険性(リスク)を削減してきたかという知識は重要である。本研究では、シロアリ防除剤クロルデンの禁止という規制を例にとって、それを推定した。 人に対する発ガン性が疑われているクロルデンの禁止に伴って、発ガン性はないが、それ以外の毒性をもつ有機りん系のクロルピリフォスが代わって使われるようになった。そのため、ここでは、発ガンリスクと非がんリスクを同一の尺度で評価する方法を、まず第一に開発した。そして、その方法を用いて、禁止措置に伴うリスクの減少量を算出した。第二に、そのための費用を算出し、最終的に死亡1件を救うために使われた費用を算出した。 化学物質に対する感受性には個人差があり、それらは統計的に分布しているという仮定と、暴露量によって症状の重さが違うということを考慮して、非がんリスクを計算した。そして、最終的には暴露量と損失余命の大きさを関連づけた。一方、ガンでは、どの程度の余命損失に相当するかを計算し、余命損失を介して、非がんの発症1件は、がんの発症の何件に相当するかを計算することによって、非がんと発ガンとを同じ尺度で比較した。 クロルデンからクロルピリフォスへの切り替えによっては、白蟻防除処理をした家の居住者、防除作業者の個人のリスクには、あまり変化がないが、暴露人口が減少するので、推定死亡数は、年間109件減少する。この死亡1件当りの費用は、8.1億円であった。この単位リスク削減費用の値は、今後の規制についての費用効果分析の際の参考になる。
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