1.Pse1domonas aerugionsaの物質感知機能 平成3年度に開発した物質感知能の計測装置を用い、様々な物質に対する緑膿菌の応答を計測した。多くの汚染物仕質が芳香族であることを鑑み、22種類の芳香族化合物に対する応答を調べたところ、フェノール、m-トルイル酸、m-ニトロ安息香酸を炭酸源にして生育させると誘導されるが、グルコースを炭素源にすると感知能を示さないことが判明した。これらのことから、(1)炭素源として資化する・しないと誘引物質として認識するしないは必ずしも一致しない、(2)ある種の感知能の発現は生育条件によって左右されることが示唆された。緑膿菌が忌避する物質としては、ゴル場で農薬として散布されているメチルシアン酸が確認された。芳香族化合物や強い誘引物質であるアミノ酸に対する応答と秋様に、忌避物質に関しても本方法により簡便・迅速に細菌の応答が測定できることを判り、本方法の有効性が確認された。 2.物質感知機能に関与する遺伝子の単離 ネズミチフス菌のtar遺伝子をプローブとして緑膿菌のセンサー移伝子の単離を試み、ptd3遺伝子を取得した。ptd3には外界の刺激を細胞内に伝達する部位が保存されている。また、遺伝子破壊により作成したptd3変異株は親株より劣った走化性を示し、ptd3が物質感知機能のセンサー遺伝子であることが強く示唆された。センサーにより細胞内に伝達されたシグナルの処理に関与する遺伝子は、まずシグナル処理の変異株を取得し、その変異を相補するDNA断片として取得した。この遺伝子に関しては現在解析中である。このように、環境浄化細菌の汚染物質感知機能をよりよいものに育種するために必要な遺伝子を本年度の研究で手にいれることができた。
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