研究概要 |
本研究では,地方都市を対象とした収集効率化計画策定のための小型計算機による支援システムを開発し、さらに徳島市を対象に、将来の廃棄物排出量を推計し、支援システムを活用して収集効率化方策の効果を収集時間の視点から評価した。具体的に得られた成果は以下の通りである。 1)廃棄物収集計画の支援にために、都市街路ネットワークとその沿道世帯情報を持った簡便な都市街路網データベースを開発した。特に地理情報のデータ構造を簡素化し、小型計算機での運用が可能な簡便な地理情報システムを開発した。また、各街路沿道から排出される廃棄物量の推計モデルおよび、廃棄物量およびアクセス時間から収集に要する作業時間を推計するモデルを開発し、これを基にして、与えられた車両,人員のもとでも最適なゴミ収集体制を自動計画する手法を構築した。 2)徳島市を対象として一般廃棄物排出量の推移分析から、西暦2000年の地区別排出量を予測し,その結果を基にして、大型収集車の導入、分別収集、収集回数増加、リサイクル活動の推進などを考慮して、収集計画のシナリオを作成し,その効果を総収集時間や車両あたり収集時間の視点から評価した。この結果、徳島市では、大型収集車を街路条件に合わせてきめ細かく導入することや、不燃物有価物のリサイクル収集の促進が収集効率化に有効なことが明らかになった。 今後の研究の課題として、廃棄物収集の効率化計画に加えて、都市環境計画の立場から、都市における物質循環系の一環として、製造物の社会循環、廃棄物の収集・処理、資源・エネルギーの回収、といったトータルシステムの構築とその運用方法を輸送システム面から検討していく必要が認識された。
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