研究課題/領域番号 |
04203223
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
中西 一弘 岡山大学, 工学部, 教授 (90026584)
|
研究分担者 |
田中 孝明 岡山大学, 工学部, 助手 (00217043)
富田 憲史 岡山大学, 工学部, 講師 (20217532)
|
キーワード | クロスフロー瀘過膜 / 膜透過流束 / モラセス培地 / 比抵抗 |
研究概要 |
バイオプロセスにおける除菌・集菌工程の効率化を目的として、クロスフロー膜瀘(Cross Flow Filtration;CFF)に着目して、その膜瀘過流束に及ぼす諸因子の解明を行うと共に、膜透過流束を高くするための方策を検討した。具体例として、(1)パン酵母培養液と、(2)プルラン培養液のCFFを取り上げた。 YPD培地で純粋培養したパン酵母培養液のCFFにおいては、定常流束だけではなく、定常状態に達するまでの流束変化も瀘過理論から推測される結果と一致した。すなわち、クロスフロー膜瀘過時におけるケーク層の充填状態はデッドエンド型瀘過の場合と同様であることが判明した。膜透過流束に及ぼす膜間圧力差、循環流速、菌体濃度、膜の種類などの影響を調べた。循環流速と菌体濃度に関しては、モジュール内部が菌体により閉塞を起こす限界の値が存在することが判明した。 天然培地であるモラッセスを用いて培養を行った場合の膜透過流束は、YPD培地で培養したパン酵母懸濁液の結果と比較して著しく低下した。この理由として、モラッセス中に存在する微粒子が菌体ケーク層表面上に薄い層をなして積もり、しかもこの薄層の比抵抗が菌体ケーク層よりも著しく高いことが明らかにされた。膜透過流束を高めるための方策を検討したところ、逆洗が最も効果的であった。逆洗による膜透過流束の回復は膜孔径に依存し、膜孔径が0.8μm以下の膜では殆どみられず、孔径が3μmあるいは5μmの膜では膜透過流束の回復は100%であった。逆洗を行うことにより、膜透過流束は5倍以上増加した。 プルラン培養液のクロスフロー瀘過においては、菌体の形状が膜透過流束に大きく影響することが判明した。培養条件を工夫することにより膜透過流束は数十倍に増加した。
|