ジェッテイング流動層石炭ガス化炉では、炉壁から離れた場所に高温部を作成することで、クリンカートラブルが避けられるとともに、ガス化効率を向上することができる。このようなガス化炉ではガス送入部(グリッド部)の構造が層全体のガス化性能に大きく影響すると考えられる。本年度は、ガスおよび粒子の流動モデルにガス化反応速度式を組み込んだ反応モデルを開発し、小型バッチ式ガス化炉(塔径、43mm)での実験結果を数値解析した。また、連続式ガス化炉(塔径、78mm)を運転し、グリッドゾーンにおけるガス濃度分布を実測し、定常状態での局所的な反応について塔径の影響を検討した。 粒子およびガスの流動モデルと気泡流動化領域におけるKunii-Levenspielモデルを組み合わせた反応モデルにより層内ガス濃度分布を計出した。本モデルの特徴はグリッドゾーンをジェット部とアニュラス部に分けて考え、アニュラス部におけるガス混合は放射方向の混合拡散を孝慮した点にある。モデルの妥当性はシミュレーション結果と計算結果を比較することにより行なった。その結果、本反応モデルのような簡単な仮定を用いても、1173-1273Kにおける反応をほぼ予測することできた。しかし、ガスの渦巻状の流れや気泡生成時における複雑な流動が別途行なっている常温モデル実験で観察されており、さらに正確に反応結果を予測するにはモデルの改良が必要であることが示唆された。 連続式ガス化炉においては、これまでに報告したバッチ式での反応結果とほぼ同様な傾向がみられた。すなわち、定常状態(炭素反応率、約50%)におけるガス濃度分布により、燃焼反応はジェット近傍で、水性ガス化反応は分散板近傍で主として起こることがわかった。また、分散板上部ではH_2濃度に比べて、CO濃度が極めて高かったが、これはジェット近傍で生成したガスが拡散してきたためと考えた。
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