本研究は、通常p形伝導を得ることが困難なZnSeの良質なpn接合を作成することにより、発光効率と輝度の高い青色発ダイオードを作成することを目的とする。これまでに、Zn及びSe単体を原料にして水素輸送法によりZnSeを成長させると同時に、PおよびLiのコ・ドーピングによってGaAs基板上の低抵抗率のp形ZnSeが成長できることを報告した。またp形ZnSe上にアンドープ膜を成長させることによりpn接合を形成し、発光ダイオードを試作したが、試作ダイオードは必ずしも良好な特性を示すに至っていない。良好なpn接合を得るためにはn層の導電率を高くすることと、p層の不純物の再分布を抑制する必要がある。 今年度は、ヨウ化メチル(CH_3I)を用いて、ヨウ素を添加することにより、n領域の導電率を制御した。成長温度350℃においてCH_3Iの供給量が0.025μmolmin^<-1>以上ではエピタキシャル成長させることができなかった。0.016μmolmin^<-1>のとき抵抗率は大きく、0.021μmolmin^<-1>のとき導通しなかった。0.0021〜0.016μ7olmin^<-1>のとき電子濃度5×10^<16>〜7×10^<17>cm^<-3>で制御してエピタキシャル成長させることができた。PL特性は、CH_3Iの供給量が少ない時SA発光のほとんどない高品質の膜である。青色LEDを作成する時は、CH_3Iの供給量を2段階に変化させ、電気的・光学的に満足すベきZnSe膜が得られることをSIMにより確認した。300℃においては10^<18>cm^<-3>台の電子濃度が得られた。このことは、p層の不純物の再分布を抑制するたれに有効と思われる。 閉活法によるZnSe単結晶育成のために、ZnSe輸送量の封入ガス圧依存生を本研究でデータの少なかった高圧領域(100Torrまで)で調べた。Ar、He、H_2について非常に異なった依存生を示した。
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