研究概要 |
金属アルコキシドの加水分解・重合反応を利用するゾル-ゲル法によって光機能性ハイブリッド材料を合成することを目的とし,昨年度までに機能性有機分子を導入した着色透明シリカゲルバルク体ならびにCdS半導体超微粒子分散透明シリカガラスコーティング膜を合成し,それらの光学的性質の測定を行なってきた.本年度はさらに非線形光学材料となる金超微粒子散シリカガラスコーティング膜の合成を試みた. 金源としてHAuCl_44H_2Oを使用し,モル比でSi(OC_2H_5)_4:H_2O:HCL:C_2H_5OH:Au=1:2-10:0.01または0.4:0.028の溶液を調製し,密封条件下40℃で2時間保持したものをコーティング溶液とした.ディップコーティングによってスライドガラス上にゲル膜をコーティングし,ただちに500℃で10分間熱処理した.一部の試料については,熱処理前にゲルコーティング膜をモノエタノールアミン(MEA)蒸気に1分間さらした. 熱処理過程で膜表面上に金が析出する傾向があったが,溶液中の塩酸濃度を高くする,あるいは熱処理前にゲル膜をMEA蒸気にさらすことによってこれを抑制することができた.熱処理したコーティング膜には,500〜600nm付近に金の表面プラズマ共鳴に基づく光吸収が観測された.MEA処理を経たものでは吸収ピークがブロードであり,より短波長側に観測された.これらの結果と,X線回折ならびに透過型電子顕微鏡観察の結果から,MEA処理によって,生成する金微粒子の粒径が小さくなることがわかった.またMEA処理を行わない場合,出発溶液中の水の濃度を増すことにより,生成する金粒子の粒径が大きくなることがわかった.
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