研究概要 |
今年度は(N,N')-(ビニレン)ビスポルフィリンの金属錯体、(NN)-(CH=CH)(TTRM(II)X)_2(1-9)について酸化還元電位を測定した。銅複核錯体ではCu(II)/Ci(I)のレドックスが025Vに見られた。これらの値はN-メチルテトラフェニルポルフィリン金属錯体での値と殆と変化がない、配位性の軸配位子であるCl、OAc、OHを持つ銅複核錯体では金属の酸化還元に由来する一対に可逆波が見られたが、非配位性のBF_4、ClO_4、PF_6を持つ銅錯体では二対に可逆波が現われた。これは、Cu(II)Cu(II)の状態から1電子還元によりCu(II)Cu(I)の混合原子価状態を経て、Cu(I)Cu(I)まで還元される過程を示している。軸配位子が強い場合には銅-銅間での電子スピンの非局在化によって混合原子価状態が安定化されたものと考えられる。次に、異種複核金属錯体の合成を行ない、そのスペクトル的性質を明らかにした。(N、Co)-(ビニレン)ビスポルフィリンコバルト錯体を酸化して得られる(N、N')-(ビニレン)ビスポルフィリンモノコバルト錯体を銅(II)イオンと処理し、Co(II)Cu(II)異種複核錯体、(NN((CH=CH)(OEPCo(II)TTPCu(II))(BF_4)_2を高收率で得た。複核銅錯体のプロトンNMRは著しくブロードで裁定不能であるが、複核コバルト錯体は40から-180ppmにかけて常磁性シテトを示す鋭いスペニクトルを与える。異種複核錯体では銅-コバルト間の磁気的カップリングにより、すべてのプロトンNMRシグナルを観測することができた。複核銅錯体の粉末をプレスしてペレットとし、銀ペーストで表面処理を行ない、交流2瑞子で電導度を測定した。Collmanらはピラジンを架橋配位子とするFe、Ru、Osポルフィリンの一次元ポリマーの電導性について報告したいる。(4)はドーパントを用いない場合の鉄ポルフィリンと同様の電導度を示したが、ヒドロキノンをドープすると10^2程戸の増加が見られた。
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