研究概要 |
励起子の局在化は光学的性質に大きな影響を与える。この局在化には音響型のフオノンが大きな役割を果たすことは良く知られている。3次元結晶では、電子-フォノン、正孔-フォノン相互作用の大きさと符号の違いにより励起子は多様な様相を示すことは良く知られている。一方、量子井戸中の電子については、音響フォノンによる局在化は、井戸の次天性により大きく異なり、井戸の次元性が大きくなるにつれ局在性は大きくなる。従って、この系の光学的性質に大きな影響を与える励起子について、その局在化が、量子井戸の次元性によりバルクとどう異なり、次元性の違いを明らかにすることは、重要である。 井戸の次元性をd(=0,1,3)とし、井戸幅をL(即ち、L=Lz for d=1,L=Ly=Lz for d=2,L=Lx=Ly=Lz for d=3)とし、無限障壁モデルを用いた。X(=x,y,z)方向の励起子状態の羽動関数をf(x)として、井戸に束縛されていない時は、電子、正孔ペアrに可能な様相を記述出来る形を選び、井戸に束縛されている時はそれと電子、正孔のサブバンド関数の積を用いることにする。井戸による効果はフォノンについては折りたたみ効果があるだけと考え、電子格子相互作用に対して連続道似を用いた。電子-格子相互作用の効果は断熱道似で考慮し、電子-正孔のクーロン引力はデルタ関数で道似する。系の物理的パラメターとして、系にバンド幅Bm,電子-格子相互作用の強さSac、正孔-格子相互作用の強さSac gacを変化させ、井戸の次元性の効果と励起子の局在性について種子の状次で調ベた。井戸の次元性が大きくなると励起子の局在性がおこりやすいが、gacの符号により井戸の次元性の効果は大きく異なることがわかった。
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