1.電子シャワー法でステンレス基板上にAuを蒸着すると、電子ビーム法に比べ600倍以上の高剥離強度膜が得られた。このうち熱拡散による影響は全体の1/20であった。残り(19/20)は基板上の酸化クロムと化学結合し、酸化金(Au_2O)を形成するため、高剥離強度膜が得られた。つまり電子シャワーによる電子励起により、金の酸化が促進されることが分かった。 2.透明導電性ITO薄膜の電気抵抗を決めるキャリヤー濃度は、Snのドナー量と酸素欠損量で決まる。しかし従来両者の割合を求める手段がなかった。我々はESCAを使って、初めから両者の割合を分離することに成功した。 3.電子シャワー法でITO薄膜の電気抵抗が、1x10^<-5>Ωcmと従来より1桁低い膜が得られた。これは酸素欠損量が非常に多いためである事が分かった。しかし室温放置で酸素欠損量が減るため、10^<-3>Ωcmになってしまった。 4.電子ビーム法に比べ電子シャワー法を用いると、TiNの耐摩耗強度は10倍程向上した。これは電子シャワーにより、窒化が促進したためである。しかしTiO_2も存在した。今後も真空容器をもっとクリーンにすることにより、更に耐摩耗性の高い膜が出来るものと期待される。
|