本年度は、国土数値情報と同じ1キロメッシュ単位で日本列島のほぼ全域を対象に、全天日射量の月別平均値を算定しそのデーターベースを構築することを主な目的とした。本研究では初年度に求めた、太陽と地球の天文学的位置関係にとどまらず地形をも考慮した1キロメッシュ毎の可照時間、さらに、この可照時間と気圧配置型を基礎にして次年度に算定したメッシュ毎の月別日照時間の平年値などから、本年度には全天日射量を算定した。同時に、雲の影響を除き、地形の遮蔽効果のみを考慮しての全天日射量、既ち現在および将来における太陽資源のポテンシャルのひとつである全天日射量ポテンシャルも算定した。 その結果、全天日射量の月別出現頻度は、雲や地形による遮蔽があるにも拘らず、概して太陽赤緯の季節変動と調和して変化していることがわかった。そのなかで梅雨の影響による日照率の低下が反映された結果も一部地域で確認できた。空分布の観点からは、冬季の季節風吹送時の太平洋岸と日本海岸の雲分布の対照性と、メッシュ単位での地形効果を反映した全天日射量の空間分布を確認できた。さらに全天日射量ポテンシャルの空間分布が、初年度に明らかにとた可照時間のそれと非常に高い対応性を示すことも明らかになった。また、雲の遮蔽効果による日射量の減衰量に該当する、全天日射量とそのポテンシャルの差は、メッシュ単位の地形効果を反映した冬季季節風吹送時の雲分布と基本的には類似の分布を示すが、梅雨期など擾乱の経路が不安定な時季には地形効果の不明瞭な分布になることも確認できた。
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