研究課題/領域番号 |
04210105
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
阿部 寛治 東京大学, 教養学部, 教授 (20016562)
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研究分担者 |
趙 孟佑 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (60243333)
坂口 尭 東京都立科学技術大学, 工学部, 助手 (40099338)
伊藤 利明 神戸大学, 経営学部, 講師 (60201927)
蔡 東生 筑波大学, 構造工学系, 講師 (70202075)
丹生 慶四郎 帝京技術科学大学, 情報学部, 教授 (90029398)
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キーワード | 小規模分散電源 / コジェネレーション / 省エネルギー / ガスタービンエンジン / 発電効率 / CAES / ランキンサイクル / アメニティ |
研究概要 |
小規模分散電源化は本研究の一つの骨子である。数百キロ離れた需要地へと送電するためのロス、そしてそのロスを最小限に留めるための凄まじい技術(100万ボルトのUHV送電、交流→直流→交流と変換する海底送電)の数々。そのためのコストはあまりに膨大である。大型集中立地を続ける以上は避けられない道である。大パワーとリーチの長さはあるが鈍重なエネルギー源を相対的に出力は小さいが小回りの利くスマートな電源で置き換えれば全体としての効率は大幅に上がる。その上、小規模分散化では同時に発生する熱を給湯や暖房に利用するコージェネレーションというおまけがついてくる。ガスタービンを使用したコージェネレーション(出力は1000KW〜数万KWまで様々)では総合効率は70〜80%に達する。エネルギー問題の根本的な治療ではないが、特効薬の一つとしてよかろう。コージェネレーションの最高効率は発生した熱を給湯や暖房の形で使いきってしまうことを前提としているため、一見省エネとは逆行するようだが、全体としては者エネになり、アメニティの向上と両立させることができる。このことは現実的には電源サイトの確保の問題をクリヤすることになっている。 航空機のガスタービン・エンジンは機械文明の精緻である。莫大な開発費がかかっている。こうした高性能・コンパクトでタフなエンジンが「使おうと使うまいと」既に開発済みで手に入る。ガスタービンの優秀さはまず、小型・軽量で大出力であることにある。核エネルギーを除けばまず最強である。ガスタービンは熱力学上ブレイトン・サイクルに分類され、全てを気相で行うこととタービン仕事の60%が圧縮に費やされることにより、それ自体の効率は蒸気タービンの動作原理であるランキン・サイクルに劣る。しかし、ガスタービン・エンジンの排気ガスは500度の高温であるためここからさらにエネルギーを取り出すことができる。水を加熱して蒸気を作り蒸気タービンを回してさらに発電するか、そのまま給湯や冷暖房用の熱源として利用される。火力発電・原子力発電の従来の蒸気タービンではタービンを回した後の蒸気は回収し水に戻すが、蒸気に残る50から60度程度の熱エネルギーは再利用できずに捨てているため、総合効率で大きく差が付くことになる。ガスタービンの発電効率はさらに上げられる可能性がある。タービン仕事の60%が圧縮に費やされるが、この部分を夜間電力などを利用して貯蔵した圧縮空気で行うCAESコージェネレーションシステムでは通常の2倍の発電が可能となる。圧縮空気の貯蔵場所がネックではあるが導入できる場合もあるだろう。
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